
ナイル川流域に生息するナイルクロコダイル。
その革を使った「ニロティカス」は、しなやかさと美しい光沢を併せ持つ、非常に希少で魅力的な素材です。
エルメスでも特に高価な素材として知られており、その存在感は圧倒的です。
今回お預かりしたのは、そんなニロティカスを使用したバーキン。
保管中の型崩れが生じたため、元のフォルムを損なわないよう慎重に作業を進めました。
高級素材だからこそ、長く大切に使っていただけるよう、メンテナンスのご相談も増えています。
革の表情や質感は、使い込むほどに味わいが増していくもの。
だからこそ、このような型崩れは直しておきたいものです。
【before】

【after】

歪みや変形の補正を行う際には、アイロンやプレスなどの強い力を加える処理は一切使っていません。
そういった方法は一見手っ取り早く見えるかもしれませんが、革本来の質感や風合いを損ねてしまうことがあります。
特に繊細な素材の場合、無理に形を整えることで表面に不自然な張りやテカリが出てしまうことも。
だからこそ、時間をかけて少しずつ、革の状態を見ながら丁寧に整えていくようにしています。
【before】

【after】

クレンジングを行う際には、革の色味や艶感が変わってしまわないよう、細心の注意を払っています。
特に繊細な素材の場合、ちょっとした処理でも風合いに影響が出ることがあるため、無理に汚れを落とすのではなく、革そのものの状態を見ながら、丁寧に向き合うようにしています。
その中でも加脂剤の活用はとても重要で、革が本来持っている“自然に戻ろうとする力”を引き出すようなイメージで補正を行っています。
余計な加工を加えるのではなく、革自身が持つ回復力を助けるような方法を選ぶことで、仕上がりも自然で違和感なく馴染んでいくように感じています。
【before】

【after】

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【after】

高級バッグでも、このような状態になると使用をためらってしまう方が多いかと思います。
気兼ねなくお持ちいただける程度までの補正は十分に可能です。
【before】

【after】

今回お預かりしたお品は、長く大切に使われてきたエルメスのバッグ。
ご依頼いただいたお客様からは、「色褪せや変色は、使い込んだ味としてそのまま残したい。
けれど、型崩れだけは整えてほしい」とのご希望をいただきました。
そのお気持ちに寄り添いながら、革の風合いや経年による変化を損なうことなく、形だけを自然な状態へと整えるように修理を進めました。
こうした作業では、内部に芯材を入れたり、プレスやアイロンをかけると、革の質感が変わってしまうだけでなく、エルメスや買取店など、とくににエルメスの場合、芯材の追加などの加工は「改造」とみなされることが多く、中古市場でも価値が下がってしまうことがあります。
そういった背景も踏まえ、今回は革そのものに補色などの手は加えず、無理のない方法で形を整えました。
革修復どっとコムで取り入れている型崩れ修理の方法は、ブランドの基準にも配慮した内容で、社外修理品と見なされることなく、自然な仕上がりを目指しています。
こうした修理には、技術だけでなく、ブランドの背景や市場の動向を理解する目も必要です。
職人の育成においても、お客様の大切なお品物を使って練習や試行錯誤をすることはできません。
そのため、革修復どっとコムでは、リユース品を社内用として買取や仕入れなどしながら、修復士の育成や技術の検証、工程の開発に活用しています。
これらの仕入れ費は研究開発費として予算を組み、日々の技術向上に取り組んでいます。
お預かりする一つひとつの品に対して、安心して任せていただけるような体制と仕組づくりを、これからも続けていきたいと思っています。







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