ブログをご覧頂き有難うございます。
シャネルの定番であるブラック!
深みのあるブラックですが、
一般的なスムースレザーとは少し製造方法が
違うなめし方で加工されています。
【before】
【after】
画像では判りにくいかと思いますが、
レザーの表面にざらつきと若干の色褪せが
見られました。
画像のような状態ですが、
艶感を調整するトップ層が剥離して、
バインダー層の色が少し抜けた状態です。
経年による擦れが積み重なったことで、
起こる状態になります。
古くなったトップ層を革を傷めないよう、
はく離してから、バインダー層に補色します。
トップ層は、バインダー層と成分が違うので
そのまま、補色や染め直しをすると
レザーやバインダーに馴染みません。
判り易く言うと、「水」と「油」
バインダーは、水でトップ層は油です。
スムースレザーは、全てとは言えませんが
ほぼ、同じ様に加工がされています。
【before】
【after】
以前、ご紹介したことがありますが、
シャネルのブラックは、顔料のブラックだけじゃなく
染料系が配合されているので、
スムースレザーとかラムレザーとか、
業者間では、様々な呼び方がありますが、
修復の観点からみると、
アニリンやセミアニリンに近い製法で
加工がされております。
その為、シャネルのブラックは、
色褪せや変色が進むと、
色合いがブラウン系になります。
色褪せが進んだ状態のマトラッセです。
ここまで、色あせが進行すると、
現状の色合いを隠すために、アドカラーなどアクリルの配合がある
顔料だと、濃度を濃くしたり何度も塗り重ねる必要があるので、
不自然な仕上りになったり、
ご使用の際に表面がひび割れたり問題が出てしまいます。
何故、アドカラーなどのアクリル系だと
問題が出るのか?
以前にもご紹介したことがありますが、
アクリルが配合された顔料は、
画像のように固形になります。
水やアルコールで薄めると
コットンに馴染みますが、
元々が固形なので、濃度が濃かったり
塗り重ねると、硬くなり浸透しなくなります。
さらにアクリルは、熱に弱いので
財布の内側両面に加工すると、
張り付きます。
でも軽度の色褪せだと、塗り重ねる必要もないので
使いやすいのだと思いますが、極端に色あせした
状態から全体の染め直しが必要な状態や、
お財布の内側面に色褪せがある場合、
アクリル顔料は、「絶対、使わないでください。」
と当店に研修に来て下さる皆様には、
強くお伝えしております。
アクリルの配合されていない顔料は液体です。
薄めなくても馴染んでいるのが判るかと思います!
液体顔料や染料で配合した
溶剤で染め直している動画です。
レザーに馴染んでいく様子が、
判るかと思います。
アドカラーなど、アクリル顔料は、
固形なので、ステッチの針穴が埋まってしまいますが、
液体は、ステッチにも馴染むので
ステッチの色褪せも同時に修復が出来ます。
※逆にステッチが白の場合、ステッチに
滲まないようにメンテナンスが必要です!
https://www.youtube.com/watch?v=yXwk5Qt18cE
先にご紹介したチェーンウォレットの
アフターです!
液体顔料や染料は、少しの配合で色合いが
極端に変わるので、慣れるまでに時間が掛かります。
研修にお越し頂いた皆様には、
スムースレザーで軽度の色褪せまでであれば、
アクリルも良しとしています。
でも、使っていかないと、上達できませんよって
付け加えてお伝えしております(笑)
レザーの見分け方も必要不可欠です。
見分けることで、
スムースレザーなのか、
アニリン、セミアニリンなのか
判断をして、適切な顔料、染料の配合と濃度、
配合剤を調整することが出来るようになります。
【before】
【after】
レザーの製造方法を見極め、状態に応じて
適切なクレンジングやしみ抜き、染め直し、
艶調整、全てに調整が必要になります。
続いてお財布のメンテナンスになります。
CCマーク部分は、スムースレザーです。
白を必要とする色合いは、
染料で白は世の中に存在しません。
白は、顔料になるので、
スムースレザーと判断して良いです!
【before】
【after】
ふち周りのチョットした傷は
形成することが可能ですが、
折山など、ご使用に応じて負荷が掛かりやすい
部分は、割れが生じない範囲で
少しでも良くなるよう、
対応させて頂いております。
続いて内部です。
カンボンラインに多く見られる
色合いです。
ピンク系もスムースレザーになりますが、
ショッキングピンクは、
蛍光色が必要になります。
アクリルの場合、発色しないので、
くすんでしまいますが、
液体顔料は、馴染むので、発色して
鮮やかな色で仕上がります!
【before】
【after】
内側面のレザーは、染め直し
コインケース内などのキャンパス部分は
クレンジングしみ抜きになります。
刷り込まれていると、薄く残る場合があります。
生地が傷んでいる場合も無理が出来ないので
ここまで、しみ抜きが出来ない場合がございます。
【before】
【after】
続いて、バインダー層まで、ほぼ色褪せて
レザーが乾燥した状態のバッグです。
レザーをなめすときに使用する
加脂剤でレザーに潤いを与えてから
染め直しを施すことで、バインダー層と
トップ層も滑らかに仕上ります。
【before】
ふち回にの深い傷は、少し痕が残りますが、
乾燥しきってパサパサした状態も改善しました!
【after】
こちらのバッグは、色あせして
少し青み掛かった色に変色していました。
【before】
【after】
艶感に関しては、シャネルは、やや強めが
良いですが、配合を調整するだけなので、
お好みに応じて対応可能です!
過去の事例をご紹介しています!
状態が、余り良くないバッグやお財布があり、
使うには、躊躇してしまう場合、
お気軽にお問い合わせください。
全体的な画像と、気になる部分を少し
拡大した画像をお送り頂けますと、
仕上り感やお見積りを、ご案内出来ます!
メールや画像送信が苦手な方は、
お電話ください。
判る範囲にはなりますが、
概算でご案内させて頂きます。
直接、お品物をお送り頂くことも可能です。
お品物を見て、仕上り感とお見積りを
ご案内させて頂きます。
到着して、そのまま修復して、
ご請求ってことは、ございません。
ご案内させて頂いの後、お返事を頂いてから
正式に受け賜わる流れになりますが、
メールや画像送信が苦手な皆さまは
まずは、お電話頂けたらと存じます!