ルイ・ヴィトンのモノグラムラインは、今やブランドの象徴ともいえる人気の高いラインです。
モノグラム(Monogram)は英語で「組み合わせた文字」という意味で、創業者であるルイ・ヴィトン(Louis Vuitton)が自分の名前の頭文字「L」と「V」を重ねて作ったロゴマークから始まりました。
このロゴマークをモノグラムと呼び、星や花のモチーフと組み合わせたものが「モノグラム・ライン」となります。
今回は、この人気の高いモノグラムラインの根革交換修理について詳しくご紹介します。
根革とは
根革とは、ショルダーやハンドルと本体の接続部分を指します。
この部分は負荷が掛かりやすく、切れやすい部分です。モノグラムの素材は「トアル地」といい、ルイ・ヴィトンオリジナルのとても丈夫な素材で劣化しにくいですが、パーツとして使用されているヌメ革はデリケートな革なので、使用頻度や負荷によりトアル地より先に劣化が始まります。
劣化した根革の交換
劣化した根革部分を新しいヌメ革に交換することで、見栄えと耐久性を回復させます。
根革はショルダーのカクカン部分で負荷が掛かりやすいため、特にこの部分が切れやすい傾向にあります。
ジプシエールの修理について
こちらのバッグは、ジプシエールになります。
ジプシエールはフラップから本体背面にかけて「ふち革」があり、まずはふち周りの縫製を解いていきます。
修理の工程
- 劣化部分の確認: まず、劣化した根革部分を確認し、どの程度のダメージがあるかを見て修理のシュミレーションします。これは、修理方法を決定するための重要なステップです。
- ヌメ革の選定: 劣化した部分を新しいヌメ革に交換するために、適切なヌメ革を選びます。エイジングされた革を使用することで、交換部分が自然に馴染むようにします。
- 取り外しとカット: 劣化した根革部分を慎重に取り外し、新しい革を取り付けるためにカットします。この工程では、元のデザインを損なわないよう注意が必要です。
- 再縫製: 新しいヌメ革を元の位置に縫い付けます。元の針穴を利用して、統一感を保ちながら丁寧に再縫製を行います。ヌメ革は経年劣化で硬化するため、負荷がかかるとひび割れや亀裂が発生します。そのため、慎重に糸切りリッパーを使って手作業で縫い糸を解いていきます。
- 仕上げ: 最後に、縫い目やコバの仕上げを行い、全体のバランスを整えます。これにより、根革の交換修理は完了です。
画像を交えた工程の紹介です。
修理のプロセスがよりわかりやすく伝わるかと思います。
経年劣化でモノグラムや内部の素材が弱っている場合もあります。
画像のふち革を外したモノグラム部分の断面になります。
経年劣化で接着が剥がれて、画像で見ると一時的にボロボロのように見えるかもしれませんが、剥がれた部分は接着して補強を施して、再縫製をするので、強度も増し、修理後は見栄えの良い仕上がりになります。
使用するヌメ革は、交換後もバランスが取れるように、エイジングしたヌメ革を使用します。
ルイ・ヴィトンの新しいヌメ革は白に近いアイボリーの色をしていますが、交換する部分が目立たないようにするため、エイジングされた革を使用しています。
このようにして、交換しない部分との色の差を最小限に抑えています。
取り外した「根革」の形状に合わせてヌメ革をカットし、縫い目の穴やラインを入れ、コバ加工を施します。
この工程により、「ルイ・ヴィトンらしい」仕上がりが実現します。
新しくカットしたヌメ革だけの状態で見ると、のっぺらぼうに見えますが、縫い穴とふち周りのラインを入れることで、少しずつらしさが出てきます。
のっぺら状のカットしただけの状態
カシメの穴とステッチの縫い目穴を開けます。
ここからは、根革を本体に縫い付ける工程に移ります。
一旦取り外しているふち革を再度縫い付けますが、モノグラムの生地と革が重なり合うため厚みが出ます。
この工程ではミシンが活躍します。
厚みのある部分をしっかりと縫い付けるためには、八方ミシンが欠かせません。
八方ミシンは、元の針穴を利用して一カ所ずつ丁寧に縫製を施すのに非常に役立ちます。
手縫いでは難しい厚みのある部分も、ミシンを使うことで丁寧に丈夫に縫い付けることが可能です。
ミシンを使用して根革を本体にしっかりと縫い付けていきます。
この際、元のデザインと統一感を保ちながら、確実に丈夫に仕上げることが求められます。
再縫製によってバッグ全体の耐久性を回復させ、見栄えの良い仕上がりを目指していますが、状態により細部の美観に影響が出てしまうことがあります。
最善は尽くしておりますが、ご了承いただければと思います。
縫い付けと再縫製がある程度進んできたら、次にカシメを取り付ける工程に移ります。
取り外したルイヴィトンのロゴがあるリベットは、接続部分を加工することで再利用が可能です。
再利用をご希望の場合、別途費用がかかりますが、再利用することで修理した感がなく、ルイヴィトンらしい仕上がりになります。
一方で、特にこだわりがない場合は、ロゴのない類似のリベットを取り付けさせていただいております。
最後に、カシメの取り付けを完了させて、バッグ全体の仕上がりを確認します。
元のデザインと統一感を保ちつつ、耐久性も確保できるよう丁寧に作業を進めます。
今回ご紹介する「ジプシエール」バッグの修理では、ロゴが気にならないというお客様のご希望に沿って、類似の刻印のないカシメを使用しました。
類似のカシメでも十分見栄えよく修理が可能です。
カシメの選定においては、元のデザインと統一感を保ちつつ、お客様のご要望に合わせ再利用も可能です。
こちらは、刻印のある元のリベットの接続部分を加工して再利用した「アマゾン」バッグの修理事例です。
費用は別途かかりますが、お勧めはやはり再利用になります。
元のリベットを再利用することで、修理後も元のデザインと統一感を保つことができますし、ルイ・ヴィトンらしい仕上がりを実現するためには、刻印のあるリベットの再利用が最適かと思います。
最後に、取り外したふち周りのヌメ革を元の針穴に合わせて再縫製していきます。
この工程では、古くなったヌメ革が脆くなっているため、ボロボロにならないように慎重に作業を進めることが求められます。
元の針穴を利用することで、バッグのデザインと統一感を保ちながら、耐久性を回復させることができます。
古くなったヌメ革は脆くなっているため、特に注意が必要です。
ボロボロにならないよう、丁寧に再縫製します。
しかしながら劣化状態によっては、ふち革の交換が必要になるケースもあります。
今回は、ふち革の交換をお勧めはしましたが、ご予算をあまり変えたくないとのご要望から再利用して再縫製を施しております。
ルイヴィトンのヌメ革は、新品の時は白に近いアイボリー系の色をしています。
部分交換の場合、白っぽいヌメ革を使用すると、交換部分が浮いてしまい、違和感が出てしまいます。
エイジングしたヌメ革を使用することで、部分交換修理でも違和感が出にくくなります。
エイジングした革は、全体の焼け具合により多少の差はあるものの、経年変化により徐々に馴染んできます。
これにより、部分交換修理でも自然に見え、バッグ全体の美観を保つことができます。
その他、シリーズの根革交換修理のアフターをご紹介します。
ルイヴィトン刻印の有るカシメを再利用した修理事例になります。
革修復どっとコムは、ルイヴィトンらしさを損なわないよう、最善を尽くし修理をさせて頂いております。
大切なアイテムの修理に際し、修理が必要な際は、お気軽にご相談ください。
お客様の大切なアイテムを見栄えよく蘇らせ、長く愛用していただけるようサポートいたします。
根革交換修理事例
ルイヴィトン修理について詳しくはこちら
ルイヴィトン財布・バッグ修理のアフター事例集
ルイヴィトン修理について
革修復どっとコムの取り組み
私たちは職人の育成を重要なミッションとして、高品質な修理サービスを提供し続けるため、次の世代の職人を育てる取り組みに力を入れています。
①実践的な練習
傷んだブランド品を安く仕入れ、練習用に使用しています。
これにより、職人たちはリアルな修理経験を積むことができます。
②専門的な指導
経験豊富な職人が新しい職人に対して指導を行い、技術を継承しています。
高度な技術を伝えることで、全体のクオリティを保っています。
③多様な修理実績
ルイヴィトン、エルメス、シャネルなどのハイブランド品を取り扱い、さまざまな修理経験を積むことで、対応力を高めています。
④もったいない精神
日本の「もったいない」精神を大切にし、使い捨てではなく、修理して長く使う文化を広めています。
上記の取り組みとして、以下の方法で職人を育成しています!
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