2018.12.26

レザー染め直し物語

せっかくのブランド品に傷がついたり、シミがついたりしたらどんな気持ちになりますか?

あぁ~!やっちゃった~」と思う方が多いのではないでしょうか?

特に高かったバッグや思い入れのあるバッグであれば、ショックも大きくなりますよね。
さらに、それが大切な人からプレゼントされたバッグであれば、そのショックはさらに大きくなりますよね?

なんとかならないかなーっと思い、
正規店や購入したショップに相談してみたけれど、「修理不可」なんてこともあったりします。
ネットで調べてみたら、直せるところはあるみたいだけど、どこに頼んでいいのかわからない・・・。

もし、、、

「戻ってこなかったら・・・」

「偽物とすり替わってしまわないだろうか・・・」

「修理したところだけピカピカで、いかにも直しました感が出てしまったら・・・」

「不自然な仕上がりになってしまったら・・・」

なんて、高価なものだけに、ネットで依頼して送って修理をするのは不安がたくさんありますよね?
そこで、今回の記事は私たち革修復どっとこむが
ブランド品の修復を始めた経緯や取り組んできたことをご紹介したいと思います。

1.最初は、失敗からスタート

私は、もともと、クリーニング屋の息子でした。
クリーニング屋といっても大手クリーニング店のように、
チェーン展開しているような規模じゃなく、町のクリーニング屋でした。
染み抜きや使用する加工剤にこだわりすぎて、規模を大きくすることができませんでした。

そんな中、東京の修理工房と出会い、
バッグの角すれが直せることを知り、感動してすぐに研修の受講を申し込みました。

当時、数百万円もする費用を支払って、直し方を教わり、
お客様に喜んでもらえると思いながら必死で取り組んできました
が、その反面クレームが相次ぎました。

財布の内側を普通に塗ってお客様に送ったら、張り付いてしまった・・・。
靴を履いたら甲の部分がひび割れた・・・。
シミを隠すために、顔料の濃度を少し濃くしたら、すぐに割れた・・・。

などなど、お客様に喜んでいただくために取得した技術なのに、なぜ??

クレームの原因になった症状のことを修理工房の社長に聞いても、ちゃんとした返事もなく
自分の店舗には、そんなひどい状態で依頼してくる人はいないと言われるだけでした。
途方にくれ、研修を受講したことを後悔し、
もうレザーの修復の仕事をやめてしまおうかと何度も本気で考えました。

補色に使う配合剤など、様々なメーカーから取り寄せ、工夫をしました。
しかし、思うような成果が出ず、悩み苦しんでいました

そんな状態が続き、次第にお客様からお問い合わせをいただいても、状態の悪いものは、
きれいに直せる自信がなく、メンテナンスをお断りすることが増えてきてしまいました

お客様に喜んでいただきたいと始めたレザーの修理なのに、悔しくて悔しくて、
毎日イライラがつのるばかりでした。

そんなある日。地元の社労士さんのススメで、ランチェスター経営を勉強しました。
このことがきっかけで、レザーの修理をもっともっと、深堀することを決意し、
父親の経営するクリーニング店を辞め、レザー製品の染め直しを真剣に取り組むことにしました。

2.そもそも論で行きついた!レザーの製造工程

レザーの修理の深堀をすることを決めた私は、ある本で、「そもそも論」というものを学びました。
おこった事象に対して、そもそも?そもそも?と疑問を自分に問いかけていきました。

そもそも論で突き詰め、行きついたところは!

そもそも、レザーがバッグや財布になる前の段階を知ることが、
レザーの修理をする上で必要ではないか?
っということでした。

レザーがバッグや財布になる前の段階を知る必要性を強く感じた私は、
レザーづくりの工程を勉強しようと思い立ったのです。

っと、いうわけでレザーづくりの勉強をはじめ、
たくさんの染料・塗料メーカーに問い合わせて、進められたものを使ってはみたものの・・・、
どうしても染め直しではなく塗装になってしまい、以前教わった技術と同じ理屈になってしまいました。

もちろん、ネットで調べてみても答えは出ませんでした(泣)

机に座って調べて見つかるほど、甘くなく、レザーが作られる工程を論理的に知ることが出来ませんでした。
レザーの種類などの知識は学べましたが、何をどう使って染めているのか、さっぱりわかりませんでした。
被膜に配合する薬品など、到底判るはずもありません。

それでも、あきらめずアンテナを張りながら日々研究をつづけました。

3.運命的出会い

そんなある日、仕事の用事で近所の靴を製造しているN製靴所へ出向いたところ、

「齋藤さーん!この塗料知ってる?」

っと、この材料を見せてもらったのです。

この材料はN製靴所の職人さんが、難しくて使えないと困っていたもので、
うちでは難しくて使いこなせないから、試しに使ってみて!」っとススメられた物でした。

この材料こそ、まさに私が探し求めていた材料だったのです!

この材料を作って販売していたのはS市のおっちゃん!(笑)

現在は少し手を加えていただき、
そもそも論から始まったレザーを加工する段階の加工剤やレザー用の染料や顔料など
大量発注で個別に使うには無理があるのですが、
材料を制作している会社をN製靴所に教えてもらい、ダメもとで訪ねてみました。

そこは小さな工場で、おっちゃんは初対面なのに気さくすぎて、うさんくさいおっちゃんだな~っと思いながらも。
どうせ、無理だろうな~っと思いつつも商品を見せてもらい、
レザーの製造工程や仕組みを教えてもらったのですが・・・

なんでこんなに詳しいん??

この人に教われば、すべての問題が解決するんじゃないか!っと、期待がすごく膨らみました!

さっそく、一通り加工剤や染料などを購入して福井へ持ち帰り、使ってみたのですが・・・
案の定こだわり商品だけはあって、奥が深く使いこなすことができません・・・。

私が以前講習で学んだのは、絵の具と同じチューブタイプのアクリルを水で薄めて使う程度だったので、
使えば使うほど、わけがわからなくなっていきました。

そこで、S市のおっちゃんに福井へ来てもらい、実研修を受けることにしました。

その研修のおかげで薬品を使いこなせる程度にはなったのですが、
どうしてもレザーの製造工程を一から見てみたいと考えていた私は、おっちゃんに頼んで、
なかなか見学することが出来なかったレザーの製造工場の見学をすることが出来ました

4.レザーがバッグや財布などの製品化される前の工程

製品化される前のレザーのなめし工程から染め方、
銀面の作り方など、職人さんに今までのうっ憤を晴らすかのように、
事細かに質問し、工程を確認しながら、レザーの製造工程を論理的に知ることが出来ました。

この写真はその時に撮った画像です。

なめす前の段階は映像的に問題があるので省略させていただき、なめし後のレザーです。
この画像は牛革ですが、毛皮がなくなると日焼けしておらず、白っぽい色合いでした。

そう、牛は実は美白だったんです!本当に驚きました。

 

この粉はタンニン剤です。植物由来の成分で出来ています。
このタンニン剤を使ってレザーをなめし、その後、染めなどの加工ができるようにしていきます。

次の画像は、クロム剤でなめしたレザーです。

クロム剤は化学薬品で、画像ではわかりにくいですが、きれいな水色でウェットブルーと呼ばれています。
少し湿った状態で、乾かないように保存され、
この後、染色、着色を施し色止めされ、バッグや財布などのレザー製品になっていきます。

さらに、なめした後のレザーを染めたり、艶感を調整する工程を見せていただき、なぜこの処置が必要なのかなど、
深堀をして質問をし、自分なりに理解をしていきました。
最後に職人さんにレザーってこういうことですか?っと聞いてみると、

そういうこと!

っと答えが返ってきて、その瞬間、心の奥底から感動して、身震いしたことを今でも鮮明に覚えています

レザー作りを一から論理的に知ることで、
今まで自分にしかできなかったことが、スタッフにも教えられるようになり、

難しくて長続きしなかったスタッフが長続きして今では、相当な技術を身に着けています。

時には、スタッフと作業工程などの考え方の違いから、衝突することもありますが、
確実にみんなが成長していることを実感しています。

5.実際にお客様からお送りいただいた喜びの声と写真

失敗から始まったレザーの修復ですが、
今ではたくさんのお客様から、感動しました想像以上の仕上がりです!などなど、
画像付きで、メールやお手紙をいただけるようになりました!

お客様から私たち革修復どっとこむに寄せられた画像やお言葉をこちらのサイトでご紹介させていただいています。

6.修復士の紹介

難しいことにチャレンジし、時には、難しくて嘆くこともありました。

でも逃げずに、努力して、成長してきた自慢の修復士とスタッフ達です!

 

7.レザーを知ることで高価ブランド品の依頼が増える!

レザーの特性や工程を論理的に知って理解したことで、
どの程度まで染めればよいのか判別ができるようになり、

お客様のケースに合わせた詳細なご案内ができるようになったことで、
お客様から安心して高価なブランド品の修理を数多くご依頼いただけるようになりました

特に人気の高いエルメスやシャネルのご依頼が増え続けています。

中には数百万円もするバッグの修理をご依頼いただいたこともあります

 

特にうれしいことは、ご利用頂いたお客様のご紹介で、当店をご利用頂いた時です!

 

こちらは、お預かりした時に撮影させていただいたお品物のモニターです!
お客様の大切なバッグや財布をお預かりしているので、セキュリティも万全です。

8.「レザー製品は直して使うことが当たり前」の文化を!

日本人は、昔から物を大事にする文化を育んできました。
しかし、直せないと使えなくなってしまうものがあることも事実です。
使えなくなってしまうとどうしてもそのまま押し入れの奥にしまわれてしまうか、捨てられてしまいます。

最近はDIYライフハックブームで今まで直せないと思っていたものも、
直せると知って直そうと思ってくださる方が年々増え続けております。

そこで、私たちが掲げた理念をご紹介します!

バッグや財布などのレザー製品を直して使うことが
当たり前になれるように、技術の向上と修復師(技術者)を育成し、
「ものを大事にする日本人の文化」のお手伝いができる会社になります。

9.自分でリペア!DIY!

今、DIYがブームになっています。
ウィキペディアで調べると、

DIY(ディー・アイ・ワイ)とは、しろうと(専門業者でない人)が、何かを自分で作ったり修繕したりすること[1]。英語のDo It Yourself(ドゥ イット ユアセルフ)の略語で、「自身でやる」の意。「D.I.Y.」とも。

https://ja.wikipedia.org/wiki/DIY

と解説されています。

Do It Yourselfの略語です。

最近では自分で自分の財布やバッグを修理したいという人も多くいらっしゃいます。
そんな方にはちょっと耳よりなお話です。

当店の修復師「くみっちゃん」ことオクシマの発案で、レザリボンというサイトを立ち上げさせていただきました。

レザーの染め直しはほんと難しく、素人ではなかなかキレイに仕上げることができません。
動画や言葉で伝えられないことも実際にはあるのですが、

オクシマの、この仕事を世に広めたい!っという強い思いから
動画や研修を経てリペアの世界を広げていきたいと考えています。

研修のお申込みは、現在停止しておりますが、「おうちで簡単リペア」にて
材料の使い方など、未完成ながらもご紹介しておりますので、興味のある方は、ご覧いただけたらと思います。

お家で簡単リペア

10.before/after

簡単でしたが、数十年かけてたどり着いた革修復どっとこむの歴史をまとめさせていただきました。
真剣に取り組むと、天が味方してくれると実感したこともあります。

 

これからも真剣な志をもって、精進していきます。

私たちがメンテナンスさせて頂いたbefore/aftreをご紹介します。

エルメス修復事例

シャネル修復事例

その他ブランド品の修復事例

11.メンテナンス後、不具合が出たらどうすればいい?

メンテナンス後に不具合が出た場合、どうすれば良いのでしょう?
女性の方ならわかると思いますが、お肌に化粧品が合わないことってありますよね?

革製品もお肌と同じで染料などがレザーに合わないことがあります
たいていの場合は発送前に発見できるのですが、すべての発見できないこともあります。
もし万が一、メンテナンス後に不具合が発生した場合は、染料の配合を変えて
再修理させて頂いています。

今までに積み上げてきた経験から、使用する染料や顔料、配合剤は状態に応じて使い分けています。
しかし、まれにご使用いただいた際に、不自然に剥離してしまうことがあります。

事例として、ありえることが、クリームなどの油分を使われていた場合、

使用する薬品が水溶性になるので、油分が密着を邪魔してしまうケースがあります。

クレンジングでシッカリ抜き取ったつもりでも、奥深く浸透していた場合や持ち手など

ハンドル部分に皮脂が深く浸透している場合も同じ様に密着しないケースがあります。

 

どうして、こうなったのか?

ただ単にやり直すのではなく、原因を究明して、同じ様にならないように再度、やり直しをさせて頂いております。

 

大切なバッグや財布の修理を何度もやり直すことは、
バッグや財布を痛めることにならないかと不安になることもあるかと思います。
でも、ご安心ください、再修理してもレザーへの悪影響は一切ありません

レザーは一生もの」そう言われるだけあってとても丈夫なんです。
色あせやスレなどは何度でも修理すれば使えるのがレザーの魅力でもあります。

しかし、レザー自体が硬化して、ひび割れや裂け、
破れなどが生じると修理が出来なくなってしまう
こともあります。
大切なバッグや財布を長く使い続けて頂くためにも日ごろのレザーのお手入れを忘れないようにしましょう。

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