投稿日:2018.12.19

更新日:2023.07.27

内側張替え!お気に入りのバッグの中がベタベタに!バッグの中がベタベタになる理由とは?

バッグの中がベタベタ!

 

大切にしていたよそ行きのバッグ、いざ使おうと思って押し入れやタンスから出してみると・・・。

え~!?バッグの中がベタベタにーっ!!

ショックですよねー(´;ω;`)
このバッグの中のべたつき、多くのお客様から、お問い合わせをいただいています。
大切に保管していただけに、ショックの気持ちも大きいですよね?
買った時には、こんなことになるなんて説明されていないよー。なんて声もお聞きします。

でも、なんでバッグの中にベタベタとべたつきが出てしまうんでしょう?
べたつきが出たときにはどうすればいいんでしょう?

今回はそんなバッグのべたつきについて、解説していきます!

1.なぜバッグがベタベタするの?バッグのべたつきがおきる原因

そもそもなぜバッグの中にべたつきがおきてしまうのでしょう?
実はすべてのバッグにべたつきがおこるというわけではありません
べたつきがおこる原因はバッグの内側に使われている素材に原因があるんです。

べたつきがおこる素材、それは合成皮革素材です。

合成皮革素材とは、布地にポリウレタンなどの合成樹脂を塗布し、表面を革製品に似せた素材のことをいいます。

この合成皮革素材を保存するときに高温多湿な状態で長期間保管すると、べたつきがおこってしまい、触れただけで生地がボロボロとはがれてしまいます。

べたつく理由はかし剤という成分が溶け出してくることでべたつくといわれています。
かし剤には成分と成分をつなぎ合わせる役目があります。
このかし剤が高温多湿な状態で保管されていると溶け出し、ベタベタの原因となるのです。

この状態のことを加水分解(かすいぶんかい)といいます。

加水分解は、国内産の合成皮革素材には起こりにくく、輸入品には多くみられます。
輸入品にみられることが多いため、気候が合わないことも原因の一つとして考えられています。

一度加水分解がおこってしまうと、中に物を入れただけでベタベタして使うことができなくなってしまいます。

また、加工やふき取りだけでは改善することが難しく、再発しやすくなります。
ベタベタがおこった生地を交換することをおすすめしています。

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残念なことに、べたつきがおこるとあきらめて処分する人が非常に多いようです。

2.張替えが必要か自分で判断できる?

合成皮革素材のべたつきはべたつきがおこってしまった生地を交換し、張替えることできれいに改善することができます。

また、軽度のべたつきであれば、張替えを行わなくても、改善されるケースもあります。

でも、自分のバッグにおこっているべたつきが、軽度のべたつきなのか重度のべたつきなのかって見分けがつかないですよね?

ここでは、そんな方のために簡単なべたつきテストの方法をご紹介します!
テスト方法は簡単!指で軽く5センチ程度、べたつきがおこっている生地を擦るだけ

もし、この時に指に粘着物が無ければ、軽度のべたつきでクレンジングで改善する場合があります。
軽度のべたつきの場合は革製品を汚れから守るコーティング剤でふき取ることで、収まる場合もあります。
私たちは軽度のべたつきをふき取るときには、コーティングpapaというコーティング剤を使っています。


このコーティングpapaは革製品の修理を専門で行っている私たち革修復どっとこむが修理の現場で使うために開発したコーティング剤で、実際に修復を行っている修復士が使っているコーティング剤です。

コーティングpapaは、合成皮革素材やパテント素材のべたつきに有効なケースがあります。
革製品の汚れ落としや保湿などの効果があるクレンジングmamaとセットで販売していますが、合成皮革素材のべたつきに対しては、コーティングpapaのみで良いです。

コーティング剤papaはこちらからチェックできます。

また、合成皮革素材のべたつきだけでなく、エナメルのべたつき、色あせなどにもテストで指に付着物が無ければ改善することがあります。

この動画は実際にコーティングpapaを使用している動画です。

自分でクレンジングをするのはちょっと不安・・・
そんな方はプロの革修復士におまかせしましょう!

ちなみにパテント素材やエナメルにご使用される場合は、量を多めに少しだけ力を入れて何度か拭いてください!

次に指で擦って指に粘着物や生地が付着してしまう場合は張替えが必要になります。

上の写真のように生地がはがれてしまったり、指にベタベタや生地が貼りついてしまったりする場合は張替えを検討してみましょう。

3.ベタベタになってしまった内側の生地の張替えの値段は構造で決まる

実際にべたつきのテストをしてみて生地がはがれたり、指に貼りついたりしてしまったら、次に気になるのは張替えのお値段ですよね?

内側の張替えのお値段はバッグの構造によって料金が変わります
内側の構造には主に、落とし込みタイプ縫込み張り合わせタイプに2種類があります。

3-1.落とし込みタイプ

落とし込みタイプは、上のイラストのように内側の生地が袋状に落とし込まれていて、入口周りで縫い込まれているタイプのバッグのことをいいます。

落とし込みタイプでは大掛かりな解体作業が不要なので、比較的安く内側の生地の張替えを行うことができます。

例えば、ルイヴィトンのバケットは落とし込みタイプになります。

3-2.縫い込み張り合わせタイプ

縫い込み張り合わせタイプは、バッグの縫い合わせと一緒に内側の生地が縫い込まれているタイプのバッグのことをいいます。

このタイプは少なくともバッグの8辺の縫製を解かないと内側の張替えを行うことができません。

そのため、縫込み張り合わせタイプの内側の張替えには熟練した職人が工業ミシンだけでなく、八方ミシンや手縫いなどで張替えを行う必要があるため、落とし込みタイプよりも料金が高くなってしまいます

ちなみに、お財布も基本的には縫い込み張り合わせタイプになります。

こちらの写真は実際の縫込み張り合わせタイプのバッグの写真です。

ご紹介したように、バッグの内側の張替えは構造が料金に大きく影響します。
それ以外の部分では、ポケットの数や内部の仕切りの有無が料金に関連してきます

内側張替えの料金が気になる!っという方は、こちらのリンクに内側張替えの修理を行うときの料金が紹介されていますので、ご確認してみてください。

内側張替えの料金はこちら

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上から見るだけでは、判断がつきにくいので、底面をつまんで引っ張って内部が出てきたら落とし込みタイプ、出てこなかったら縫い込み張り合わせタイプになるのです!

3-3.詳しい見積もりをとるポイント

内側の張替えの見積もりをできるだけ正確にとるには次の4つのポイントが大切です。

  • 落とし込みタイプか縫込み張り合わせタイプか?(底面を摘まんで引っ張ってください)
  • 内部にポケットがいくつあるか?
  • 外ポケットはあるか?
  • バッグの内側に仕切りがあるか?

この4つのポイントが分かっていると、画像が無くても大きな誤差がなく、バッグの内側の張替えのお見積りをとることができます。

ただ、文章や言葉だけではなかなか伝わらない部分もあるので、全体と内側を上から撮った画像を用意しておくと、文章や言葉で状況を伝えるよりも、誤差の無いお見積りが出てくるようになります。

3-4.縫い込み張り合わせタイプによくみられる加工

縫い込み張り合わせタイプにはよく見られる加工があります。
一般的にコパやバニッシュと呼ばれる加工です。

下の写真のように、革と革の併せを隠すためにコーティングの様な加工がされている部分のことをいいます。

この写真ではふち回りが黒くなっていますが、これがバニッシュ(コバ)です。

お財布にもよく見られる加工ですが、縫込み張り合わせタイプの場合、このバニッシュも取り除く必要があり、再加工が必要なケースもあるので、見積もりの時にバニッシュの有無を伝えていただけると、見積もりの制度がさらにアップします。

3-5.構造により張替と併せて必要な修理(バケットタイプなど)

張替をする上で、どうしても避けられない工程があります。

再縫製になりますが、元のステッチを取り除くと、レザーと一種に縫われた部分のレザーが、ボロボロと割れてしまうことがあります。

このように割れてしまう原因は、レザーの乾燥です。

解いて再度、縫製すると更にボロボロになってしまうので、入り口周りの細いレザー(口革と言います)も一緒に制作して交換します。

4.保管方法は変えられない!という人には素材を変更するのがおすすめ

せっかく、きれいに直っても同じように保存してしまうと、合成皮革素材だとべたつきが発生してしまって意味がありません。

でも、湿度や室温を気にしつつ、きっちり保管をするのって正直大変ですよね

そこで、オススメなのが張替えを行うときに使う生地を、合成皮革素材からシャンタン生地という少し滑りの良い高級感のある素材に張り替えてしまうことをオススメします。

シャンタン生地なら、加水分解がおきないので、べたつきが起こらず大切なバッグを長く使うことができます。

5.ベタベタはもういや!バッグの内側のべたつきを防ぐには?

この記事を最初からここまで読んでいただけた方であれば、もうお分かりですね?

そう、べたつきを防ぐには高温多湿にならないように保管することで、バッグのべたつきは防ぐことができます

でも、日本の夏は高温多湿、クローゼットや押し入れに保管しておくと、イヤでも避けることができなくなるのが現実、難しいですよね?

そこで、私がオススメしたいのが、保管せずに普段使いにすることです。
普段使いであれば、高温多湿の状態で長時間保管されることを回避することができます

普段使いしたくない場合は、クローゼットや押し入れには入れず、
エアコンなどで、温度や湿度を管理できる部屋にそのまま置いておきましょう

高温多湿になりやすい場所は避ける、これさえクリアできればバッグのべたつきとはおさらばできるのです。

もちろん、内側の張替え修理の時に、別の素材へ交換することでもべたつきの再発を防止することができます

特にシャンタン生地であれば、長年の仕様で擦れや破れがおこることはありますが、丈夫な生地で長持ちしますし、高温多湿な状態で保管しても、べたつきが発生することがないので、気兼ねなく、保管することができます

6.まとめ

バッグのべたつきに関する記事、いかがだったでしょうか?

べたつきの原因、チェックの方法、張替えが必要な時の費用感、べたつきの再発を防ぐ方法など、わかっていただけましたか?

大切なバッグだからこそ、使いどころまで保管しておきたいというお気持ちはよくわかります。

しかし、どんなに大切にしていても保管中に劣化してしまっては悲しいですよね?

大切なバッグを長持ちさせるためにも適切な管理、そしてずっと閉まっておくのではなく、たまには押し入れやクローゼットから出して使ってあげることでバッグを長くお使いいただくことができます。

また、べたつきが出ても諦めるのではなく、一度私たち革製品の修復士にご相談ください。

きれいにお直しさせていただきます。

 before/after

内側張替のご紹介です!

こちらは、バーキン風のバッグです!

複雑な構造も出来る限り美観を損なわないように熟練した職人が張替致しております。

こちらは、ルイヴィトンリヴィエラの内部です!

ポケット内部のみの張替も可能です!

 

運営会社:フェニックス株式会社

MOTTAINAIの文化の伝え手として、
未来に豊かさを伝えていく。

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