ビジネスバッグやハンドバッグの持ち手劣化の対策と修理のポイント
ビジネスバッグやハンドバッグでよく見られる症状の一つに、持ち手部分の劣化があります。
バッグ本体は問題なく使えるのに、持ち手がボロボロになって使えなくなること、よくありますよね。
持ち手部分は、バッグや中身の重み、手で持ったときの擦れなどで一番負荷がかかる部分です。
どれだけ大切に使っていても、段々と弱くなり、切れてしまうことがあります。
そうなると、使うたびに持ち手が切れるのではないかと気になり、使うのをためらったり、注意しながら使うことで使いにくくなります。
安価なものなら寿命と割り切っても良いかもしれませんが、高価なバッグやお気に入りのバッグだと何とかしたいとお考えの方も多いでしょう。
修理をしようにも、正規店だと新しいバッグを買った方が良さそうな見積りが出たり、修理店に出すのも仕上がりが心配なこともあります。
そこで今回は、持ち手(ハンドルやショルダー)と、持ち手を本体に繋ぐ部分(根革)の修理について詳しく解説します。
高品質な修理で、大切なバッグを長く使い続けるためのポイントをご紹介します。
バッグの修理について詳しい情報やご相談は、こちらをご覧ください。
専門の技術と知識で、大切なアイテムを美しく蘇らせるお手伝いをいたします。
この記事の目次
レザーの種類と選び方:持ち手作りの秘訣
レザーの種類は多種多様で、持ち手を1本作るにも、レザーの色、シボ(表面の模様)や質感がそれぞれ異なります。こうした多様性が、製品の個性と美しさを生み出します。
レザーの選定方法
レザーを豊富に保有している業者は少なく、そのため、私たちは製造工場に直接出向き、レザーの種類を確認してから仕入れを行っています。このプロセスにより、品質の高いレザーを確保し、お客様に最高の製品を提供することができます。
特に注意するレザーの種類
ヌメ革: 表面に加工がされていないため、長期間在庫として保有すると色ムラが生じやすくなります。
ラム革: 軟らかくて繊細なため、特に色ムラや見栄えの悪さに注意が必要です。
保管と染色の工夫
ヌメ革やラム革は、染めない状態で保有し、用途に応じて染色します。こうすることで、色ムラを防ぎ、美しい仕上がりを保つことができます。
レザーの質感と用途
レザーの質感や色合いは、その用途に応じて選びます。例えば、高級感を求める場合は滑らかな質感のレザーを選び、カジュアルな雰囲気を出したい場合は、シボのあるレザーを使用します。
持ち手作りにおけるレザー選びは、多様な種類の中から最適なものを選び出すことが重要です。
製造工場で直接確認し、適切な保管と染色を行うことで、最高の製品を作り上げることができます。
これからも、細部までこだわった製品をお届けするために、レザーの選定と仕入れに全力を尽くします。
革修復どっとコムでは、革を地肌(加工されていない)状態で1頭買いし、染め直しを行うことで、豊富なレザー在庫を確保しています。
これにより、様々な色やシボの柄を取り揃え、お客様のニーズに応じた製品を提供できるようになっています。
地肌のレザーを仕入れ: レザーを地肌のまま購入し、必要に応じて染色します。これにより、色ムラを防ぎ、美しい仕上がりを実現します。
製造工場への出向: レザーの種類を直接確認し、最適な素材を選定するために、製造工場に定期的に出向いています。
豊富な在庫: 長年の積み重ねにより、上質なレザーを豊富に保有しています。これにより、お客様に比較的お安く提供することが可能です。
迅速な回転: 多くのご依頼をいただくことで、レザーの回転が速く、保管中の劣化を防ぐことができます。
湿度・温度管理: 保管室は外光が入らないようにし、湿度と温度を厳密に管理しています。これにより、レザーの変色や劣化を防ぎ、美しい状態を維持しています。
劣化した持ち手の交換をご希望いただいたバッグが届いたら、まずは見合ったレザーを選びます。
適したレザーが在庫にない場合、製造工場に出向き、サンプルから選んで購入し、在庫を増やします。
このプロセスにより、常に豊富なレザーを取り揃えています。
次に、選んだレザーを型枠を使ってカットし、形を作ります。ハンドルやショルダーの形状に特徴がある場合、修理依頼の多い部分には型枠を使用します。しかし、めったにない形状の場合、型枠を作るだけで高額になるため、手作業で慎重にカットします。特に曲線部分などは、型枠を活用して精密にカットしていきます。
カットしたレザーは工業用ミシンや八方ミシンを使って丁寧に縫製します。このプロセスでは、縫い目がしっかりと整い、美しい仕上がりを目指します。
持ち手交換のプロセスは、適切なレザー選びから始まり、カットと縫製を経て完成します。
どのような形状やデザインの持ち手でも、専門的な技術と経験を活かして最高の仕上がりを提供します。
見合ったっレザーが無かったら、製造工場に出向き、サンプルから選んで購入して更に在庫を増やしていきます。
次に選んだレザーを型枠など使ってカットして形を作ります。
ハンドルやショルダーは、特徴がある形状で、修理依頼の多い部分は型枠を使いますがめったにない形状は、型枠を作るだけで高額になるので、手作業でカットしていきます。
こちらは、部分的に曲線など同じ様に出すための型枠です。
型枠など活用して形状に併せ革を切り出していきます。
次にカットしたレザーを工業ミシンや八方ミシンを使って縫製していきます。
ハンドル交換の料金は、以下のポイントを考慮してお見積もりを行います:
平型か丸形かによって料金が異なります。特に、本体に縫い付けるタイプの場合、接続部分の細かな構造も見積もりに影響を与えることがあります。
1本または2本のハンドルの交換が必要かに応じて見積もりが変わります。
本体に直接縫い込まれているか、裏地があり再縫製やバニッシュの再加工が必要かどうかによっても見積もりが変動します。
これらのポイントを踏まえた上で、最適なハンドル交換の料金を提示いたします。
ハンドルの形状は基本的に、2種類に別けられます。
本体の縫製を解く必要がありません。
裏地が無いものは、そのまま直接、縫い込み事が出来ます。
裏から見て縫い目が見えているか否かご判断ください。
裏地に直接縫われているので、他の部分の縫製を解かず交換が出来ます!
同じ様に本体に縫い込まれているケースのバッグです。
裏面にステッチが見えないのでふち周りの縫製を解く必要があります。
※画像はルイヴィトンネヴァーフルバッグの内部です。
再縫製とバニッシュの再加工が必要な構造交換を行う場合、まず縫い糸とバニッシュを丁寧に剥がす必要があります。
その後、新しいハンドルを取り付け、再縫製とバニッシュ再加工を施します。
これにより、バッグの耐久性と美しさを保ちながら修理が完了します。
ブランド品の多くは、色合いに個性を持たせているため、近い色合いがない場合、専門的な色調を行って色合わせをします。
色合わせが不要な場合には、在庫の中からできるだけ違和感のない色合いのレザーを使用して制作します。
色調: 専門的な技術で色を調整し、ブランド品のオリジナルカラーに近づけます。
色合いの確認: 実際の色合いを確認し、依頼者と相談しながら進めます。
カスタマイズ: 特にこだわりがない場合、在庫の中から違和感のない色合いで制作します。
色合わせには別途費用がかかりますが、元のデザインや美しさを最大限に保つための方法として、多くの方にご満足いただいています。
一般的なレザーは豊富に揃えていますが、クロコダイルやエナメルなどの特殊な素材については、色合わせや素材探しが必要になるケースがあります。
これらの素材は、制作に使用するレザーで仕上がり感が大きく左右されるため、慎重に選定します。
色合わせの重要性: 特殊な素材の色合わせは非常に重要です。元のデザインに忠実な色合いを再現するため、専門的な技術を駆使します。
素材の調達: 適切な素材を入手するために、製造工場や専門業者に出向いてサンプルを確認し、最適な素材を選定します。
時間がかかる場合: 見合ったレザーの入手に時間がかかる場合、修理完了予定が少し遅延することがあります。お客様には事前にご連絡し、ご了承いただいた上で作業を進めます。
エナメル・パテントレザー
ワニ革
パイソンレザー
ハンドルとショルダーの違いを簡単に説明すると、ハンドルは短く、ショルダーは長いということです。
ショルダーには、肩掛けと斜め掛けの2種類があります。
特に斜め掛けでは、長さを調整できるバックル(美錠)が付いているものが多く、バックルを止める穴やベルト通し(遊カン)も含まれます。
ショルダーバッグの見積り基準は、主に以下のポイントに基づいています:
長さ調整の有無
調整可能なベルトタイプ: 長さを調整できるタイプのショルダーバッグは、構造が複雑なため、見積もりが異なります。
調整不可のタイプ: 長さ調整ができないタイプは、比較的シンプルな構造です。
接続部分の構造
バッグ本体に縫い込まれているかどうか、裏地があるか、再縫製やバニッシュの再加工が必要かなど、接続部分の構造が見積りに影響します。
素材
使用される素材も見積りの基準となります。特に、特殊な素材を使用する場合は、見積もりが異なることがあります。
バッグなどに取り付けられている金具は再利用できるものと出来ないものがあります。
ハンドルやショルダーに多く使われている金具と合せてご紹介します。
かしめとも言われていますが、丸いもやブランドのロゴが入ったものが多いです。
このリベットはドットタイプと言って、金具と金具を打ち込んで止めているものが多く、外すと再利用が出来ませんが、接続部分を金属加工することで、再利用が出来るようになりました。
カンの種類には、画像のように角カンやDの形をしたDカン、丸い形状の丸カンがあります。
カンは、種類に関係なく再利用が可能です。
ショルダーやハンドルの接続部分に良く使われています。
バックルは再利用が可能です。
チェーンや巾着バッグの紐を通す部分に使われいる金具です。
ハトメもドットタイプ(打ち込み)が多く、再利用が出来ないケースが多いです。
このような名前が付いたのは、茄子の形に似ているからでしょう!
バッグなどの本体から取り外しが出来るように、ショルダーの先端に取り付けられています。
2wayバッグと言いまして、ショルダーでもハンドバッグとしても使えるバッグに多く使われています。
再利用が可能です。
基本的に、ドットタイプは再利用が出来ないケースが多く、ネジで止めてあったり、バックルなど機能的な金具は再利用が可能と判断頂けたらと思います!
金具が破損したり、メッキが剥がれたり錆びた場合、交換したりメッキ加工をすることも可能です。
制作交換とセットで加工すると、再縫製費用が不要になります。
革修復どっとコムでは、切れかけた部分に革を充てたり、接着したりと様々な方法で修理を行いますが、特に『らしさと見栄え』を重視しています。
長い年月をかけて使い込むうちに経年劣化は避けられませんが、新品とは異なるレザーの味わいを活かし、さらなる魅力を引き出す修理を目指しています。
革修復どっとコムの職人は、レザーの味わいや風合いを大切にしながら修理を行います。
経年劣化を単なる損傷とせず、その風合いを活かすことで、唯一無二の魅力を持つアイテムへと蘇らせます。
革製品は『一生のもの』『100年もの』と言われるように、長く愛用することができる素材です。
私たちは、お客様の大切なアイテムを長く使い続けていただけるよう、常にスキルを磨き続け、様々な状態に応じた修理提案を行っています。
革修復どっとコムでは、これからも高品質な修理を提供し、お客様の大切なアイテムを美しく保つお手伝いをいたします。
1. レザーの選定 バッグが届いたら、見合ったレザーを選びます。適したレザーが在庫にない場合、製造工場に出向き、最適なレザーを選定・購入します。高品質なレザーを確保するための重要なプロセスです。
2. レザーのカットと形作り 選んだレザーを型枠を使用してカットし、形を整えます。型枠を使うことで精密なカットが可能になりますが、めったにない形状は手作業でカットします。特に曲線部分などは、型枠を活用して精密にカットします。
3. 縫製プロセス カットしたレザーは、工業用ミシンや八方ミシンを使用して丁寧に縫製します。縫い目がしっかりと整い、美しい仕上がりを実現します。
4. カスタマイズと色合わせ ブランド品の色合いは個性が強いため、近い色合いのレザーがない場合は色調を行い、色合わせをします。色合わせが不要な場合でも、在庫の中から違和感のない色合いのレザーを使用します。色合わせには別途費用がかかりますが、元のデザインや美しさを最大限に保つことができます。
5. 特殊な素材の取り扱い クロコダイルやエナメルなどの特殊な素材については、色合わせや素材探しが必要になる場合があります。適切な素材を見つけるために、時間がかかることがありますが、品質を保証するためにはこのプロセスが欠かせません。
6. 保管と品質管理 仕入れたレザーは、外光が入らないようにし、湿度と温度を厳密に管理した保管室で保管します。これにより、変色や劣化を防ぎ、美しい状態を維持します。
これらのステップを丁寧に行うことで、耐久性と美しさを兼ね備えたハンドル制作交換が実現します。大切なアイテムを長く美しく保つための修理について、詳しくはこちらをご覧ください。専門の技術と知識で、あなたのアイテムを蘇らせるお手伝いをいたします。
私たちは職人の育成を重要なミッションとして、
高品質な修理サービスを提供し続けるため、
次の世代の職人を育てる取り組みに力を入れています。
①実践的な練習
傷んだブランド品を安く仕入れ、練習用に使用しています。
これにより、職人たちはリアルな修理経験を積むことができます。
②専門的な指導
経験豊富な職人が新しい職人に対して指導を行い、技術を継承しています。
高度な技術を伝えることで、全体のクオリティを保っています。
③多様な修理実績
ルイヴィトン、エルメス、シャネルなどのハイブランド品を取り扱い、さまざまな修理経験を積むことで、対応力を高めています。
⑤もったいない精神
日本の「もったいない」精神を大切にし、使い捨てではなく、修理して長く使う文化を広めています。
上記の取り組みとして、以下の方法で職人を育成しています!
私たちは福井県福井市を拠点としているフェニックス株式会社です。
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フェニックス株式会社 https://repair-phoenix.com/