ビジネスバッグやハンドバッグなどで、よく見られる症状に持ち手部分の劣化があります。
バッグ本体は問題なく使えるのに、持ち手部分がボロボロになってしまい使えないなんてこともよくありますよね?
ビジネスバッグやハンドバッグの持ち手部分は、バッグや中身の重みや手で持った時の擦れで一番負荷がかかる部分です。
大切に使っていても段々と弱って切れてきてしまいます。
そうなると、使うにもいつ切れてしまうのかと、気が気ではなくなってしまい、使うことをためらったり、持ち手部分に力がかからないように注意しながら使ったりで、使いにくくなってしまうのではないでしょうか??
安価なものなら寿命と割り切っても良いのかもしれません。
でも、高価なバッグやお気に入りのバッグだと何とかしたいとお考えの方もいらっしゃると思います。
修理をしようにも、正規店だと買った方が良さそうな見積りだったり、修理店に出すにも仕上がりが心配だと思います。
今回は、持ち手と言われるハンドルやショルダーそして、持ち手を本体に繋ぐ部分を根革と言いますが、この3つについて詳しく解説していきたいと思います。
この記事の目次
持ち手1本作るにも、レザーは様々な色、シボや質感がそれぞれに違います。
レザーを、豊富に保有している業者さんが少ないため、その都度、製造工場に出向き、レザーの様々な種類を直接確認をして仕入れをしています。
特にヌメ革やラムなど表面に加工がされていない状態で在庫を長期的に保有すると色がムラになり、見栄えが悪くなるので、染めない状態で保有し、用途に応じて染めて使用します。
一例ですが、革を地肌(加工されていない)状態のレザーを1頭買いして染め直した画像です。
その積み重ね甲斐あって、沢山のレザーを保有することが出来きており、今でも、仕入れに出向いたり、染めたりしながら在庫を増やして様々な色やシボの柄をご用意できるようにいます。
長年、積み重ねてきたことによって、今では、上質なレザーを使用しても比較的、お安く制作交換が可能になっていますし、ご依頼を沢山いただけることで、レザーの回転も速く、保管中の劣化も、ほとんどない状態になっております!
保管室は、変色が出ないよう、外光が入らないようにして湿度、温度を管理しています!
劣化した持ち手交換をご希望頂いたバッグが届いたら、まずは、見合ったレザーを選びます。
見合ったっレザーが無かったら、製造工場に出向き、サンプルから選んで購入して更に在庫を増やしていきます。
次に選んだレザーを型枠など使ってカットして形を作ります。
ハンドルやショルダーは、特徴がある形状で、修理依頼の多い部分は型枠を使いますがめったにない形状は、型枠を作るだけで高額になるので、手作業でカットしていきます。
こちらは、部分的に曲線など同じ様に出すための型枠です。
型枠など活用して形状に併せ革を切り出していきます。
次にカットしたレザーを工業ミシンや八方ミシンを使って縫製していきます。
ハンドルの形状は基本的に、2種類に別けられます。
ハンドル交換の料金は、以下のポイントでお見積もりを致しております。
①形状
平型か丸形かになりますが、本体に縫い付けタイプの場合、接続部分が細かな構造の場合もお見積もりに反映する場合があります。
②本数(1本もしくは2本)
③本体接続部分の構造
本体に直接、縫い込まれ裏地があり再縫製やバニッシュの再加工が必要か否かでお見積もりが変わります。
本体の縫製を解く必要がありません。
裏地が無いものは、そのまま直接、縫い込み事が出来ます。
裏から見て縫い目が見えているか否かご判断ください。
裏地に直接縫われているので、他の部分の縫製を解かず交換が出来ます!
同じ様に本体に縫い込まれているケースのバッグです。
裏面にステッチが見えないのでふち周りの縫製を解く必要があります。
交換の際に縫い糸とバニッシュを剥がす必要があります。
ハンドル取付後、再縫製と再加工を施します。
④色合い
ブランド品の多くは、色合いに個性を出しているので、近い色合いが無い場合、色調して色合いを合わせます。
色合わせ不要な場合、ご用意できる範囲の中で出来るだけ違和感が出ない色合いで制作させていただきます。
色合わせは、別途費用が掛かります。
⑤特殊な素材
一般的なレザーは豊富に揃えておりますが、クロコダイルやエナメルなどは、色合わせや素材探しが必要になるケースがあります。
制作に使用するレザーで、仕上り感が大きく左右する重要なポイントになるため、見合ったレザーの入手に時間がかかった場合、完了予定より少し遅延する場合がございます。
エナメル・パテントレザー
ワニ革
パイソンレザー
お見積りの基準、概ね理解いただけたかと思いますが、ご質問や仕上がりに不安がある場合は、お気軽にお問い合わせ頂けたらと思います。
最初にハンドルとショルダーの違いを簡単に説明すると、ハンドルは短くショルダーは長いと理解いただければと思います。
ショルダーだと、肩掛けと斜め掛けの2種類に分類別けが出来ます。
斜め掛けに多いのは、バックル(美錠)と言って長さが調整できる金具がついており、バックルを止める穴やベルト通し(遊カン)があります。
長さ調整できるものと出来ないものだと、構造も全く違ってくるので、見積りの基準にもなります。
ショルダーの見積り基準は、長さが調整できるベルトタイプか長さ調整できないタイプかになりますが、ハンドル制作でもご紹介したように、バッグの接続部分の構造と素材が見積りの基準になります。
バッグなどに取り付けられている金具は再利用できるものと出来ないものがあります。
ハンドルやショルダーに多く使われている金具と合せてご紹介します。
かしめとも言われていますが、丸いもやブランドのロゴが入ったものが多いです。
このリベットはドットタイプと言って、金具と金具を打ち込んで止めているものが多く、外すと再利用が出来ませんが、接続部分を金属加工することで、再利用が出来るようになりました。
カンの種類には、画像のように角カンやDの形をしたDカン、丸い形状の丸カンがあります。
カンは、種類に関係なく再利用が可能です。
ショルダーやハンドルの接続部分に良く使われています。
バックルは再利用が可能です。
チェーンや巾着バッグの紐を通す部分に使われいる金具です。
ハトメもドットタイプ(打ち込み)が多く、再利用が出来ないケースが多いです。
このような名前が付いたのは、茄子の形に似ているからでしょう!
バッグなどの本体から取り外しが出来るように、ショルダーの先端に取り付けられています。
2wayバッグと言いまして、ショルダーでもハンドバッグとしても使えるバッグに多く使われています。
再利用が可能です。
基本的に、ドットタイプは再利用が出来ないケースが多く、ネジで止めてあったり、バックルなど機能的な金具は再利用が可能と判断頂けたらと思います!
金具が破損したり、メッキが剥がれたり錆びた場合、交換したりメッキ加工をすることも可能です。
制作交換とセットで加工すると、再縫製費用が不要になります。
切れかけた部分に革を充てたり、接着したり様々な方法が修理としてございますが、私たち革修復どっとコムは、『らしさと見栄え』を大切にして、ご提案をさせていただいております。
⻑い年⽉をかけて使い込んでいくうちに、経年劣化は避けられません。
新品とは違うレザーとしての味を活かし、さらなる魅⼒を醸し出していく。
それが、革修復どっとコム職人が目指している理想の修理になります。
革製品は『一生のも』『100年もの』と言われるように、これからも色々な状態に応じてご提案できる様、スキルを磨き続けていきます。
MOTTAINAIの文化の伝え手として、
未来に豊かさを伝えていく。
その一躍を担える『革の職人集団』を目指しています。