投稿日:2019.01.11
更新日:2023.03.28
ルイヴィトンは、デザイン性から色々な素材を使っているので、
修理内容もたくさんあります。
そのため、修理箇所や状態によってさまざまな修理があります。
中には正規店では修理ができないけれど、正規店以外の修理店では修理してもらえる。といったものもたくさんあります。
ここでは、正規店以外の修理店でできるルイヴィトンの壊れた場所や状態に応じた修理をご紹介していきます!
この記事の目次
とじても開いたり動かなくなってしまったなど、スライダーの不具合が要因の場合、開閉する際にファスナーを動かす部分をスライダー(地域によってはスライサー)と言います。
このスライダーに不具合がある場合、修理店で修理を行うことができます。
ファスナーにも部位により名前があります。
布地(テープ)・レーン(エレメント)といいますが、テープ部分が破れていたり、エレメントが破損しているとファスナーの全交換が必要です。
こちらは、ファスナーの修理について案内しているサイトになります。
ここで、こだわりたい方なら、心配されることがありますね!
そう、ルイヴィトンの引手(プルタブ)が別のものに変わってしまわないか?ということです。
ご安心ください!
プルタブの接続部分が折れていなければ、再利用できます!
画像のように破れたり真っ黒に汚れたときも交換がお勧めです!
黒ずみは、油分などの汚れになります。
油分の汚れアルカリ性の染み抜き剤を使うとある程度、落ちますが、縫い目から中に浸透してモノグラムやダミエの柄が消えてたり、内部に染み抜き剤が浸透して後に悪影響を出してしまうので本体から外してしみ抜きする必要があるんです。
だったら、あまり違いが無いファスナーを入手できますし、既製品でないものは、特注で作りますので交換した方が、キレイに仕上がりますし、仕上がりも気持ちよくお使いいただけるかと思います!
どうしても正規品にこだわる方は、取り外してしみ抜きして、取り付けさせて頂きます。
交換したファスナーの画像です。
万が一、プルタブの接続部分が折れている場合は、YKKの一般的な引手であれば、取り付け致します。
こちらのサイトでファスナー修理の事例を紹介しています。
実は、ルイヴィトンの内部は、合成皮革素材が使用されている商品がとても多いです。
よそ行き用に大切にしまっていざ、使おうとしたら・・・
内部がベトベト・・・・
本当にショックですよね~。
合成皮革素材が加水分解という状態になるとベタツキが出ます。
べたつきが出る原因は加水分解という現象が原因です。
加水分解がおこる原因は、高温多湿の状態で長期間放置になります。
そう、梅雨の時期や夏場に押し入れにしまっておくとベタつきが発生してしまうのです。
大切な商品ゆえに、大切にしまうお気持ちは痛いほどわかります!
ルイヴィトンに限らずインポートブランド(輸入ブランド)は、日本国内の気候に合わない素材が使われていることがあるので、出来る限り普段使いされるか特に梅雨から夏の期間は、しまわないで出しておくと防げます。
同じ商品の修理を見てみると、使い込まれている商品の内部にベタツキが出ていないケースが多いので、間違いないと思います!
ベタツキが出た場合、ものをいれると生地が剥がれ張り付いてしまうので、張替修理が良いかと思います。
内部なので見た目的に違和感が出ません。
テスト方法を紹介しているサイトです。
しかし、いくら修理をしても梅雨の時期や夏場に同じように保管してしまうと、また、べたつきが発生してしまいます。
保管していてべたつきが出た場合は、前回と同じ方法で保管をしない必要があります。
どうすれば良いかというと、出来るだけ普段使いをして、高温多湿の状態を作らないように、心掛けてください!
かといって保管方法は変えられない・・・。
でも、同じような思いは、絶対嫌だ!
そんな方には、合成皮革素材から、シャンタン生地(布地)といって、少し光沢のあるルイヴィトンに見合った高級感のある素材で張替をすることも可能です。
生地を変えることで保管しても、ベタツキが出ることは無くなるので、お勧めです!
こちらのサイトでは、張替に関する事例を紹介しています!
ハンドルやショルダーの劣化による修理は、ルイヴィトンでもっとも多い修理です。
モノグラム・ダミエの柄部分の素材は、トアル地と言って、綿を樹脂でコーティングされたとても丈夫な素材です!
長年使っても痛みがあまり出ません。
しかし、レザー部分はそうもいきません。
トアル地は長く持っても、レザーの方が先に、痛んでしまいます。
トアル地は丈夫なので、レザーが痛んできたら交換することで、さらに長く使う事ができます!
ご家族に引き継ぐことを考えて交換される方もたくさんいらっしゃいます!
レザー部分であれば、部分的な交換から全交換まで対応が可能です。
全交換の場合、色合いをお好みに合わせて変えることも可能になります!
全交換のbefore
全交換のafter 色をネイビーに変えて交換いたしました。
同じヌメ革のネイビーにしたので、質感も柔らかく上質なレザーです。
中央のステッチも黄色からネイビーにしました!
レザー全て制作交換を紹介しているサイトもありますので、良ければごらんください。
各パーツの応じて部分的に制作して交換することも可能です。
ショルダーの交換です。
バックルなどの金具は再利用して取り付け致します。
ネバーフルの交換です!
丸形ハンドルの交換です!
各パーツに応じた制作交換を紹介しているサイトもありますので、良ければごらんください。
レザーを専門に修理をしている修理店では1点1点の商品の修理は職人さんが手作業で修理を行っています。
そのため、レザー部分を交換するために、バッグの縫製を解く必要があるので、
部位によっては、大掛かりな工程になることがあります。
バッグの縫製を解き分解して、各パーツを交換後、安全に元の様に戻すためには、かなりの経験が必要になります。
バッグを製造する工程は、流れ作業で出来上がったパーツを順番に組み立てて縫製をしていきますね!
ルイヴィトンの工場をテレビで紹介されていたことがあり、私は見入ってしまいました。
驚くほど、品質にこだわった設備でした!
我々、修理屋には、真似のできないそれは、素晴らしいものでした。
あれだけの設備があったら、完璧な修理ができるのにな~と想いながらも現実問題としては無理な話です(笑)
私が見た番組を動画で無いか探しましたが、見つかっらなかったので、違う番組ですが掲載します。
ちなみに英語です!
修理店での修理では、交換する部位を交換し、必要最小限の縫製を解きます。
修理する商品は、年数により、それなりに痛みがありますので、問題が出ないよう、慎重に縫製を解き、その後、交換する部位のレザーを外して同じ形状になるよう、手作りで制作します。
型枠といって、機械でカットする方法だと曲線など、全く同じ様に制作できるのですが、バッグなど製造する工場には、効率を上げるため、設備が整っておりますが修理は大量生産ではないので、職人が、全て手作業でカットし、制作します。
でも、修理の多い小さなパーツは、出来るだけ同じ形状になるように工夫はしています!
特に根革の劣化が多いので、型枠を作ってレザーをカットしています。
お見せできない部分もありますが、一部、画像で紹介します。
こうして、歪みが出ないようにレザーをカットします。
出来上がったパーツを工業ミシンや八方ミシン、時には手縫いで縫い込んでいきます。
レザークラフトをされている方には判るかと思いますが、
取り外したハンドルなどの革パーツを、同じ様にカットするのは経験がなせる業です!
修理に携わる職人さんに、心より敬意を表します!
そして、制作したパーツを元の針穴に合わせて、工業ミシンや八方ミシン、場所によっては手縫いで再縫製します。
ルイヴィトンの劣化したハンドルの画像です。
購入当初は、アイボリー系ですが、経年変化で、色合いが飴色に焼けてきます。
部分的な交換が多いので、白に近いヌメ革をエイジングして少し焼けた色合いのヌメ革を使います。
私たちの工房では、レザーの製造工場と提携して、ルイヴィトン修理専用のヌメ革を特注でお願いして使用してます。
白っぽいレザーでの制作も可能です。
素材は、レザー業界では、とても有名な栃木レザーを使用します。
こちらの画像は、製造工場から届いたヌメ革です!
エイジング前の画像です。
一頭分のレザーですから、とても大きいです!
こちらはエイジングしたヌメ革です。
エイジングする理由は、部分的に交換しても違和感が出ないようすることが目的になります。
ヌメ革は、経年変化で色合いが飴色に焼けてきます。
当然ですが、修理が必要なケースの場合、年数も経過しているので、そのまま白っぽいヌメ革を使うといかにも、その部分だけ交換しました!的な仕上りになるので、当店ではエイジングしたヌメ革を用意してナチュラルに仕上がるようにしています!
光加減で画像では少し濃く見えますが、実際はもう少し淡い色合いです!
使用するステッチも太さ、色合いなど出来るだけオリジナルに近いものを探し出して、使用しています。
長年の積み重ねから、今では、ほぼ、判らない範囲までのステッチを見つけ使っています。
部分的なホツレなどの修理も可能です。
こちらのサイトは、パーツ交換修理に関する事例を多数、紹介しています。
破損状態に応じて参考になります!
べたつきの原因となる加水分解にはもう1点嫌なことがあります。
加水分解のケースで多くお問い合わせ頂く内容が、臭いの発生です。
久しぶりに出してきたバッグからこんな臭いを感じたことありませんか?
カビ臭でもなく、タバコなど生活臭でもない、なんとなくチョッと酸っぱいような臭い・・・。
そう、これも同じ加水分解が原因なんです。
この臭いの元は表生地と内側生地の間に使われている素材や接着剤から臭いが発生します。
このようなケースになると、洗っても生地を張替しても改善しません。
そのようなケースの場合、消臭剤など吹きかけても、ダメなので少し我慢して使ってみてください。
少しずつ臭いが無くなってきます。
実際に張替させて頂いた画像です!
レザー商品を使用していると避けて通れないのが、レザーの色褪せ、変色、シミになります。
レザーに浸透していない汚れは、クリーニングや染み抜きで取り除けます。
浸透していない場合、市販のレザー用の汚れ落とし剤やクリームで簡単に取り除けます。
しかし、レザーはシミが浸透するのでご自身でメンテナンスして、失敗するケースがとても多いです。
市販のものを使うときに注意してほしいことは軽く拭いてダメだったら、それ以上、手を加えない事です。
強く擦ったり、必要以上に薬品をつけると、余計にひどくなり、染め直しをしても痕が残ってしまいます。
軽く拭いてダメだったら、レザー専門店に相談しましょう!
そして、必ず行ってほしいことは、目立たない部分で、シミにならないか、テストしてから、行ってくださいね!
シルバーやゴールドの色合いをメタリックと言います。
同じような箔加工はできませんが、シルバーやゴールド、ブロンズと言ったメタリック剤と顔料や染料を配合して
色調をします。
実際に染め直しをさせて頂いた事例です!
ルイヴィトンでもっとも多い構造になりますが、ハンドルや財布のふち周りに表と裏面の生地やレザーの併せを
隠すためにコーティングのように加工がされた部分がありますよね!
この部分をバニッシュとかコバとか言われています。
保管中にベタツキが出たり、使用中にレザーが伸びてひび割れたり、財布の場合、開閉で負荷が掛かり剥がれたり余り丈夫じゃない部分になります。
再加工も可能ですが、下地のレザーや生地の状態に合せ、加工の厚みを調整する必要があります。
無理に元の様に厚みを出しすぎると場所によっては直ぐ割れてしまうので、お品物の状態に合せ加工を致します。
実際にバニッシュ加工を施したケースと併せご紹介します!
続いて財布です。
ふち周りを綺麗にすると引き締まった感じに仕上がります!
わたしが、レザーに携わるようになってから、数えきれないほどのクリームなど市販のものを試しに購入して使ってきましたが、ヌメ革はとにかくシミになってしまうケースが多いです。
その中でも、シミになり難かったクリームをご紹介します。
コロンブスのヌメ革用クリームです!
もう一つは、エムモゥブレイのアニリンカーフクリームです!
こちらも比較的シミになりにくいクリームです。
但し、着けすぎないように注意も必要です。
使用方法を守って、必ず目だない部分でテストを忘れずして下さいね!
クリームを塗る目的は保湿やエイジングを目的にしましょう!
土屋鞄製造所でヌメ革のメンテナンス方法を詳しく紹介してます!
エイジングなど、お考えの方は、とても参考になるかと思います!
汚れが付着し浸透したら・・・
クリームで汚れが落ちることもありますが、ヌメ革の場合、汚れがつくと浸透してシミになっているのでクリームでは綺麗に出来ないと理解しておいてください。
あと、絶対にやってはいけない事は、クレンジング剤や染み抜き剤は、シミのようになり余計に悪化させるため、シミが着いたら、ご自身でのメンテナンスは、
出来ればされない方が無難です!
エイジングしてシミを目立たなくするか、専門店に相談しましょう!
クリームを塗る目的は保湿やエイジングを目的にしましょう!
レザーの色褪せや角の擦れ、浸透したシミは染め直すことで、見栄えを良くすることが出来ます。
クレンジングをしてから、必要に応じた補色、そして、艶感を調整する方法になります。
こちらのサイトでは、染め直しの修復事例をご紹介しています!
クリームを塗る目的は保湿やエイジングを目的にしましょう!
染め直す上で、大切なことは、無理に傷やシミを隠さないことになります。
無理に隠すと、いかにも何かペンキでも塗ったかのような仕上りになって、
逆に不自然な仕上りになってしまいます。
レザーは、車板金のように硬いものに塗装をする方法ではなく、
顔料染料を使ってレザーに馴染ませる方法になります。
使用してきたレザーの味や癖も考慮して染め直しが必要です。
板金の凹みはパテで埋めて平らにしてから塗装できますが、レザーは、そのような事をしたら、安っぽい仕上がりになってしまいます。
少しでも見栄えが良くなれば!
少しでも目立たなくなれば!
使う上で、恥ずかしくないまで!
の考えで、検討して、仕上がりについては、レザーの状態に応じ、ナチュラル感を重視した
専門店にご相談いただくことをお勧めします!
こちらのサイトでは、使用するレザーのことやクリーニング、
染め直しの方法とレザーの構成要素を紹介しています。
これから、レザーのリペアを考えている方、すでにアクリル(絵具)を使って
塗装されている方も、このサイトを見て参考にして頂けたら幸いです!
アクリルは使いやすいですが、塗装と同じ方法になるので、財布など重なり合う両面に塗装して、放置すると、張り付いてしまいますし、数年後、ひび割れてくるケースが多いです。
写真はアクリルで塗装されて数年後、ひび割れが出た状態です。
他にも財布の内側が張り付く症状もあります。
こんな状態になってしまうとせっかくのルイヴィトンが台無しですよね。
ルイヴィトンで代表的なエナメルは、ヴェルニーシリーズです。
正式にはパテントレザーといいます。
パテント素材にシミがつくと、浸透するのでシミを抜くことが出来ません。
メカニズムは定かではないのですが、浸透するケースとして、レシートインクやボールペン、他の商品の色移りが多いです。
長年、使用してくると、青色が緑色、白色が黄色など変色もします。
同色で修復する方法よりも、染め替えがお勧めです!
同色修復は、塗装になりますので、少し違和感が出ることもございます。
染め替えは、染料をパテントに浸透させるので、パテントの光沢感とモノグラムの型押しをそのまま残すことができるので、色合いは変わっても、キレイに仕上げることが出来ます。
実際に染め直しを施した事例です。
こちらのサイトでは、エナメルやパテントに関するメンテナンス方法を紹介しています。
こちらのサイトでは、染め替えの事例を紹介しています。
ファスナーのプルタブなど金属部分の色褪せ!
例えばファスナーを交換したけど、ファスナー部分はきれいなのに、引手がサビサビと言った場合に検討されてみてはと思います。
実際に加工させて頂いた画像です!
プルタブ
ペンダント
加工するとルイヴィトンのLVロゴがかっこいいですね!
メッキ処理は、金属になりますが、メッキ処理の業者さんは全国にたくさんいらっしゃいますが、バッグや財布の部品となると、本体から外さなくてはいけません。
縫製を解いて取り外さなくては加工が出来ないんです。
メッキの技術と再縫製両方が必要な修理になります。
こちらのサイトで、メッキについてご紹介しています。
サイトでも紹介されてますが、以下に該当する場合、加工ができません。
こちらのサイトでは、メッキ加工修理の事例を紹介しています。
ルイヴィトンは、表面はトアル地、内側面はレザーそして内部の側面は合成皮革と数種類の素材を使ってる商品が多いです。
代表的商品は、モノグラム・ダミエのシリーズになります。
症状として多く見られるケース
一つの商品でたくさんの修理が必要なケースがあります。
全ての修理を一人の職人が対応するのは実際問題として難しく、それぞれの修理カテゴリーが違います。
最低でも二人の職人が携わることになりますから、どちらか片方の職人しかいない場合、外注となるので、当たり前ですが修理費用が高くなるので、一つの商品で違うカテゴリーの修理がある場合、参考にしてみてくださいね!
ルイヴィトンの構造は、とても巧妙で修理を進めるには、経験がものを言います。
部品を取り寄せ、ネジを外して交換する修理ではなく、縫製を解いて組み立て直す際に、元の針穴に合わせて、リステッチします。
使用年数で変わりますが、それなりに、劣化も見られるので急いで縫製をすると、生地を傷めてしまい、組み立てることが困難になる可能性もあります。
納期には、余裕をもって依頼することをお勧めします!
各修理内容の納期目安をご紹介しますので、参考にしてみてください。
ルイヴィトンは使用している素材がたくさんありましたねぇ~!
構造も複雑なので、経験値の高い職人さんが在籍する修理店がお勧めです!
ポイントは、急がせない事です!
急がせて失敗して、仮に賠償になっても、もともと古くなっていたり痛んでいた商品になるので、ほぼ値が付かないです。
職人さんに気持ちを込めさせてあげましょう!
MOTTAINAIの文化の伝え手として、
未来に豊かさを伝えていく。