投稿日:2020.10.08
更新日:2023.07.20
コロナ禍の影響でどのご家庭でも、アルコール消毒液とマスクが手放せないご時世ですが・・・
外出で使ったバッグを家に帰ったら、アルコール消毒液やアルコール入りのウェットティッシュで拭いてウィルス退散!ってしたくなる気持ち、すごくわかります。
でも、そのアルコール除菌ちょっと待ってください!!
革や合皮のバッグにアルコールをかけたり、拭いたりすると大変なことになっちゃうんです!
この記事の目次
コロナ禍でアルコール除菌の需要が増えていますが、増えると同時に、アルコール除菌に関するトラブルも増えています。
私たち革製品の修理業界でもここ半年ほどで、アルコールが関係するお問合わせが急増しています。
例えば…
・ウェットティッシュでバッグを拭いたら白くなってしまった。
・バッグの中で除菌剤がこぼれてシミができてしまった。
・革製のジャケットに汚れがあったからアルコールシートで拭いたら黒ずんだ。
・アルコール消毒直後のテーブルに財布を置いたら、財布が変色してしまった。
などなどのお問合わせが発生しています。
これらの原因はすべてバッグや財布にアルコールが付着してしまったためにおこっています。
特に革合皮のバッグや財布で色が抜けてしまったり、白くなってしまうなどの症状が発生しています。
特にラムやカーフ、ヌメ革などの革製品はアルコールが少量でも、シミや変色の原因になりますので、できる限りアルコールの近くに置かないようにすることが望ましいです。
こちらのルイヴィトンのバッグはアルコールが付着した状態で、なんらかの四角いものが貼りついてしまい、剥がしたけれど、かなり酷いシミになってしまった状態です。
こうなってしまうと、
シミをご自身で取り除くことはほぼ不可能です。
水や除光液でふき取ろうとすると、一時的に色が取れたようにも見えることもありますが、表面が乾くとまた白く浮き出てきてしまいます。
それだけなら、まだいいのですが、最悪拭く時に使ったタオルがバッグに貼りついたり、ルイビトンのように柄が入っているバッグの場合、表面の柄が拭き取られてしまい、修理店では修復ができなくなってしまうだけでなく、正規店でも修復を断られてしまう、なんて自体になりかねません。
もし、今アルコールが付着して変色やシミが出来てしまったバッグをお持ちの場合は、自分で何とかしようとするのではなく、修理のプロフェッショナルにおまかせください。
【after】
上記の画像は、お直し後の写真です。
大きく汚れていた白いシミが無くなって、見栄えよくキレイになりました!
革や合皮のバッグや財布にアルコールがつくと白くなってしまう原因は、革のコーティングや合皮のトアル地の表面のコーティングとアルコールが化学反応を起こすためです。
付着してしまったアルコールが少量だったとしても、軽く拭くだけで、表面のコーティングが剥がれたり、バッグや財布のデザインとしてプリントされている模様が、拭き取られてしまうので、ふき取りは避けた方がいと思います。
革や合皮のバッグや財布にアルコール除菌はNGですが、コロナ禍ではどうしても気になってしまいます。
そんな方には、アルコールで除菌するのではなく、次亜塩素酸ナトリウム液を使うのがおススメです。
次亜塩素酸ナトリウムであれば、正しく使用することで、変色やシミを出さずに、除菌が可能です。
市販されている次亜塩素酸ナトリウム液はそのままでは、革製品や合皮の除菌に使用することができません。
次亜塩素酸ナトリウム液は必ず薄めて使うようにしてください。
市販の次亜塩素酸ナトリウム液の濃度は商品によってバラバラですが、だいたい約0.05%程度まで薄めていただくと、革製品や合皮の製品にも安心して使用していただけるかと思います。
次亜塩素酸ナトリウム液を薄めたら、少量をやわらかい布にとり、バッグや財布の表面や金具部分をやさしく拭いてください。
スプレーをする時は、少し離れた距離から1プッシュ程度を目安にして、スプレーで拭きかけてください。
強くこすり過ぎたり、拭きかける次亜塩素酸ナトリウム液の量が多すぎると、コーティングの剥がれやシミの原因となるので、気をつけるようにしましょう。
最後は、硬くしぼった別のきれいな布で、表面を水ぶきし、風通しの良い場所で陰干ししてください。
この時に次亜塩素酸ナトリウム液の拭き残しがあると、バッグや財布の変色やシミ、傷み、金属パーツの腐食の原因となりますので、念入りに水拭きをし、次亜塩素酸ナトリウム液が残らないようにしてください。
コロナウィルスはいつどのように感染するかわからず、不安な気持ちから持ち物の除菌をされるかたも増えています。
しかし、安易にアルコールを使用した除菌は、バッグや財布へのダメージが大きく、シミや変色、傷みの原因となってしまいます。
また、除菌をするつもりが無くても、なんらかの拍子にアルコールが付着してしまうこともあるため、革や合皮のバッグや財布はできる限り、アルコールの近くに置かないように心がけてください。
そして、うっかりアルコールで拭いてしまい、シミや変色、傷みが出てしまった時は、自分でなんとかしようとせずに、革製品の染め直しができる修理店へご連絡ください。
拭いてしまい、状況が悪化した場合でも見栄えよく、お直しをさせていただくことは可能ですが模様が消えてしまったとなると、お直しが出来なくなってしまいます。
そうなっては、せっかくのお品物が二度と使えなくなってしまうので、使えなくなってしまう前に、できるだけシミや変色部分に手を加えずに、私たち修復のプロにご連絡ください。
MOTTAINAIの文化の伝え手として、
未来に豊かさを伝えていく。