日本という国は、比較的湿度の高い国で、特に梅雨の時期は、ジメジメとした嫌な季節になりますが、このジメジメとした多湿の環境は、インポートブランドのバッグや財布に、悪影響を及ぼします。
大切なブランド品を長くお使いいただく上で、是非、ご参考にしていただけたらと思います。
この記事の目次
こちらのルイヴィトンのアンプラント2wayバッグ、ふち周りが剥がれた感じになっています。
写真ではお伝え出来ないのですが、触るとベタベタネバネバしています。
この汚れはバッグの使用でついた汚れではないんです。
実は保管しているクローゼットや押入れなんかでついた汚れなんです。
保管しているのに汚れてしまうって不思議で「なぜ」?って思ってしまいます。
大切に保管していたバッグがこのような状態にあると見たときに焦ってしまいます。
この剥がれてべたべたとした状態が、加水分解と呼ばれる現象です。
加水分解とは、空気中の水分とバッグのコーティングに使われている加工剤が化学反応を起こした状態です。
加水分解かおこることで、バックや財布がベタベタになったり、表面のコーティングや色が落ちてしまう要因となります。
このルイヴィトンの場合、保管中にふち周りの『バニッシュ』や『コバ』と言われるコーティングが溶け出しこのような状態になってしまいました。
少し専門的に言いますと、加工剤と加工剤を繋ぎ合わせている『カソ剤』という溶剤の効果がなくなってしまうことで起こる現象です。
風通しの悪い押し入れやクローゼットにしまいっぱなしにしておくと、あっという間に劣化が進み、加水分解をおこしてしまいます。
加水分解は化学反応なので、どのブランドでもおこってしまう現象です。
中でも合皮をよく使っているグッチやルイヴィトンは、加水分解を起こしやすく、油断すると表面がボロボロと剥がれたり、バッグの中がベタベタになり、使い続けることが出来なくなってしまいます。
エナメル素材も同じように加水分解が起こりやすい素材になります。
バッグや財布以外では、スニーカーなどのシューズに使われているソール部分がウレタンやゴムの場合も同じように加水分解が起こりやすいです。
一度加水分解を起こしてしまうと、布や洗剤だけで取ることは難しく、逆に手を加えるとベタツキが広がり悪化します。
革修復どっとコムでご提案できる方法は、ダメになった部分をすべて取り除き、バニッシュの再加工です。
【ダメになったコーティングを剥がし、再度コーティングしたバッグのベルト部分】
革製品の加工時と同じ加工剤を使用しているので、仕上りはとてもきれいです!
加水分解からお品物を守る方法として、お勧は出来るだけバッグや財布をしまわずで出来るだけ普段使いすることになります。
しかし、時季物やビンテージ物などの場合、使わないのに出したままにしておくとスペースをとりますし、大切なバッグを出したままにしておいて、何かの拍子に汚れやキズをつけてしまうことも避けたいところですが、保管方法が悪いと湿度によって負けてしまいます。
特にインポートブランドは、生産国の気候の違いから、分解しやすいので、お品物を守るため、以下の点に注意して正しく保管していただきたく思います。
4.高温多湿の時期は、1週間に1度は風通しの良い場所へ出し、陰干しをする。
面倒でも、これらの方法をしっかりと行うことで、加水分解が発生することを極力抑えることができます。
加水分解はいろいろなところで、おこってしまう厄介な現象です。
特にドレス系として、お出掛け用のバッグや小物など、普段使いをしないお品物は、いざ使いたいという時には手遅れな状態になっていまいます。
そんな悲しい状態になることを防ぐためにも、エアコンがある部屋や風通しの良い場所などへ小まめに出して、陰干しすることが大切です。
私たち『革修復どっとコム』は、一緒に人生を歩んでいく大切なバッグを『いつまでも大切に』お使いいただけるよう、『らしさと見栄え』のコンセプトで状態に応じて、ご提案が出来るよう、そしてご期待に添えるよう、そんな『職人』を育成していきます。
『革修復どっとコム』の職人育成に関してのコンセプトです。
ご依頼いただくお客様に安心していただける『革製品の職人集団』を目指していきます。
詳しくは、『革職』からご覧ください。
MOTTAINAIの文化の伝え手として、
未来に豊かさを伝えていく。