投稿日:2020.02.28

更新日:2023.11.15

ヌメ革のお手入れについて

ヌメ革のお手入れ

 

ヌメ革は植物の渋に含まれているタンニンという成分を利用し、
なめし加工を施した革のことをいいます。

なめし加工を施しているだけで、
他に表面加工などは一切行っていないため、
革そのものが持つ虫刺されの跡や怪我の跡、シミ、しわなどが
そのまま革に表れ、素材となっている革本来の魅力を楽しむことのできる革です。

ヌメ革はとても丈夫な反面、表面処理を行っていないため、
革の表面に傷がつきやすかったり、変色がおこったりしやすい革でもあります。

この傷や色の変化を経年変化として楽しまれるユーザー多いのではないでしょうか?

しかし、キレイに経年変化をしてくれればいいのですが、
なかなか理想の経年変化を作り出すのは難しいものです。

もし、思うような経年変化が出来なかったときは、
一度リセットするためにも、染め直しを行うことをご提案させていただいています。

ヌメ革の染め直しで、できること、できないこと

この写真はシャネルのヌメ革のバッグを、
メンテナンスさせていただいた時の写真です。

部分的には良いあめ色に焼けている部分もあるのですが、
部分的に焼けているだけなので、全体でみるとあまり良い状態とはいえません。

【シャネルのヌメ革バッグ 染め直し前(正面)】

【シャネルのヌメ革バッグ 染め直し後(正面)】

IMG_20190724_135654

下の写真の背面の右下部分が良い焼け感が出ている箇所です。
シャネルは最近ヴィンテージシャネルといって、古いシャネルや
ヴィンテージ感のあるシャネルのバッグや財布が人気のため、
この焼け感が全体に出ているとレアなヴィンテージシャネルとして、
人気が出そうなアイテムでした。

【シャネルのヌメ革バッグ 染め直し前(背面)】

IMG_20190701_154050

【シャネルのヌメ革バッグ 染め直し後(背面)】

IMG_20190724_135714

しかし、今回の場合は部分的にしか、ヌメ革が焼けていないことと、
ところどころ革の表面に薄い傷があるため、あまり見栄えが良くありません。

こういう場合は、クレンジングで革の表面の汚れをキレイにしながら、
色合いを調整していきました。

染め直しを行うことである程度はキレイな状態にすることはできます。
しかし、どうしても修理が出来ないものもあります。

修理が出来ないものというのが、レザー自体のひび割れです。

ひび割れが出来ている箇所によっては、
傷の形成で目立ちにくくすることはできるのですが、
画像のような開閉やストラップ付近のような、
力がかかりやすい部分は傷の形成で隠してもすぐに割れでしまうため、
修理することができない箇所となっています。

【シャネルのヌメ革バッグの力がかかりやすい箇所 染め直し前】

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【シャネルのヌメ革バッグの力がかかりやすい箇所 染め直し後】

IMG_20190724_143347

金具の汚れはお磨きをすることで、キレイにできるのですが、
素材となるヌメ革自体にヒビがある場合は、一度ご相談ください。

上記の写真のように補色を行うことで、
逆にひび割れが目立ってしまうこともあるため、
ヌメ革にヒビが入っている場合は、詳細なお打ち合わせが必要となります。

ヌメ革を長く楽しむために必要な保湿方法のワンポイントアドバイス

ヌメ革を長く楽しんでいただくためにも、
日々のメンテナンスは欠かせません。

特に手軽に出来て、ヌメ革の状態を良い状態で保ってくれるのが、
革製品ようの保湿クリームを塗って保湿をする方法です。

保湿をすることで、部分的な焼けを抑え、
ヌメ革のひび割れを抑える効果があります。

上の動画はヌメ革に保湿クリームを塗る時の良い例と悪い例を紹介しています。

動画を見ていただくと、分かりますが、
保湿クリームを塗る時には一度体温で温めてから、
ヌメ革の表面に塗りこんでください。

体温で温めることで、保湿クリームが、
溶け、伸びやすくなり、全体に素早く均一に馴染ませることができるようになります。

もし、最初の段階で保湿クリームを多く取りすぎてしまった感じた場合は、
少し強めに擦ることで、摩擦熱でクリームが溶け、伸びやすくなります。

保湿クリームの使い方を間違ってしまうと、
逆にシミの原因となってしまうことがあるため、注意が必要です。

ヌメ革は表面処理を行っておらず、
革の中でもより、お肌に近い状態の革です。

そのため、お肌のお手入れをするように、
ヌメ革のお手入れをすることが、ポイントです。

まとめ

ヌメ革の経年変化は自分でコツコツと作っていく、
自分だけのオリジナルの風合いです。

しかし、日々のメンテナンスをせずに、
良い経年変化を作り出そうとするのはとても難しいと思います。

もし、この記事を読んで、
手元にヌメ革のバッグや財布があり、
今からでも、経年変化を楽しんでみたいけど、
既に出来てしまった焼けの見栄えが良くないものがあるという方は、
一度、染め直しをご利用していただくことで、
ヌメ革の状態を一旦リセットし、新たに一から
自分だけの変化を楽しむことができるようになるので、おススメです。

ヌメ革の染め直しに関するお問い合わせはこちら

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