投稿日:2020.03.16

更新日:2023.07.20

シャネル染め直し ブラックへのこだわり

シャネル染め直しブラックへのこだわり

 

シャネルといえば、リトル・ブラック・ドレスでもわかるように、黒を基調にしたデザインが特徴のブランドです。

シャネルのバッグに使われる黒のスムースレザーには深みがあり、一般的なスムースレザーとは少し製造方法が違うなめし方で加工されています。

黒にこだわっているブランドなので、ブラックのシャネルを染め直しする時には、他のブランド以上にこだわって染め直しをしています。

シャネルのブラックはブラックでも、ブラック一色じゃない

この画像のシャネルは、色あせで染め直しの依頼を受けたシャネル・マトラッセのバッグなんですが、暗めのブラウンに見えませんか?

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実はこのシャネルのバッグは、ブラウンではなく、ブラックなんです。

シャネルのブラックは、ただ、ブラックの顔料だけでブラックに塗っているのではなく、様々な色の染料を用いて、ブラックに見えるように染めています。

様々な染料を使うことで、ブラックの顔料だけで塗るよりも、僅かな色の違いをコントロールすることができ、より深みのあるブラックを作ることができます。

ここにシャネルの深みのあるブラックの秘密があります。

いくつもの色が使われているため、色あせや変色が進むとブラウン系の色に変色することがあります。

 

液体染料にこだわる

上記の画像のように、色あせが進み、変色してしまっていると、一般的に使われているアクリル配合の顔料では、濃度を濃くしたり、何度も色を塗り重ねる必要がでてきます。

そうすると、出来上がった時に不自然な仕上がりとなってしまうだけでなく、使っているうちに表面がひび割れてしまい、ボロボロになるなどの問題が発生してしまいます。

何故、アクリル配合の顔料では問題が出るのでしょうか?

 

理由は、アクリルが配合された顔料は、粘度が高く、固形のような状態になり、浸透しにくいためです。

水やアルコールで薄めると馴染みますが、元々が浸透しにくいため、色を濃くするために濃度を濃くしたり、塗り重ねたりすると、硬くなり浸透しなくなります。

さらにアクリルは、もう一つ弱点があります。

その弱点とは熱に弱いということです。

 

この弱点のせいで、財布の内側を両面アクリル配合顔料で加工すると、熱が加わった際に貼りつき、無理やりはがすと、塗料が剥がれ、ボロボロになってしまいます。

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ただ、軽度の色褪せ程度では、塗り重ねる必要がなく、調色なども簡単なため、使いやすいので、多くの革製品の修復現場で使われています。

しかし、極端に色あせした状態や全体の染め直しが必要な場合は、お財布の内側面に色褪せがある場合、アクリル顔料は、使わない方が、長く使い続けるためにも良いと思います。

革修復どっとコムでは、上記の問題から、アクリルの配合されていない顔料を使用することにしています。

アクリルを配合していない顔料は液体の顔料になります。液体なので、薄めなくても素材に馴染み、重ね塗りをしても、硬くならず、ひび割れも起こさず、貼りつきません!

 

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上記の画像とアクリル配合の顔料の画像を、見比べていただくと、その違いははっきりと分かっていただけると思います。

下の動画は、液体顔料や染料で配合した溶剤で染め直している動画です。

シャネルのマトラッセを筆で塗っている動画です。

顔料が、レザーに馴染んでいく様子が、判るかと思います。

アクリル顔料では、こうはならず、表面で固まっていきます。

アクリル顔料はシャネルのようなデザインにステッチを取り入れているようなアイテムの場合、ステッチ部分にアクリル顔料がへばりつき、針穴を埋めてしまいます。

一方、アクリルを配合していない液体顔料は、ステッチにも浸透し、馴染むのでステッチの色褪せも同時に修復が出来ます。
※逆にステッチが白の場合、ステッチに滲まないようにメンテナンスが必要です!

先にご紹介したチェーンウォレットのアフターです!

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液体顔料や染料は、少しの配合の違いで色合いが極端に変わるので、慣れるまでに時間が掛かります。

ただ、染めるのではなく、革の特性を理解して、染める

画像ではちょっとわかりにくいと思いますが、このシャネルのバッグは、レザーの表面にざらつきと若干の色褪せがおこっています。

【シャネルのバッグ、修復前】

写真 2019-09-03 12 03 01

【シャネルのバッグ、修復後】

写真 2019-09-05 15 48 01

通常の修復店であれば、単純に色あせとして、補色をしてしまうと思います。

しかし、このまま補色をするというのは、実はあまりおススメできないんです。

理由は革の表面の加工にあります。

スムースレザー・銀付き革

この画像はスムースレザーの革の断面のイメージです。

革の上にトップ層とバインダー層という2種類の層があります。

バインダー層は革に塗った色の層のことをさします。

トップ層はこのバインダー層や革を外部からの擦れやキズから守り艶感を調整するためのコーティングの層になります。

この艶感を調整するトップ層が剥離してしまい、バインダー層の色が少し抜けた状態です。

長年の使用でついた擦れが積み重なったことで、起こる状態です。

こういった場合、古くなったトップ層を革を傷めないよう、はく離してから、バインダー層に補色を行う必要があります。

トップ層は、バインダー層と成分が違うため、そのまま、補色や染め直しをしても、トップ層に色が載るだけで、レザーやバインダーに馴染みません。

 

シャネルなどで多く使われているスムースレザーは、同じ様に加工がされています。

【シャネルのバッグ、修復前(裏)】

写真 2019-09-03 12 03 16

【シャネルのバッグ、修復前(表)】

写真 2019-09-05 15 49 55

製造段階で加工がされているためレザーの修復を行う際には、使われているレザーの種類や状態の見分け方も必要不可欠です。

見分けることで、スムースレザーなのか、アニリン、セミアニリンなのか判断をし、適切な顔料、染料の配合と濃度、配合剤で調整が出来るようになります。

【シャネルのバッグ、修復前(中)】

写真 2019-09-03 12 03 07

【シャネルのバッグ、修復後(中)】

写真 2019-09-05 15 48 06

レザーの製造方法を見極め、状態に応じて適切なクレンジングやしみ抜き、染め直し、艶調整が必要になります。

例えば、このお財布ですが、

【シャネルの財布、修復前】

写真 2019-06-25 14 38 52

【シャネルの財布、修復後】

写真 2019-06-26 13 28 33

CCマーク部分がスムースレザーですが、白を必要とする色合いは、染料で白は世の中に存在しません。

白は、顔料になるので、スムースレザーと判断して良いです!

ふち周りのチョットした傷は形成することが可能ですが、折山など、ご使用に応じて負荷が掛かりやすい部分は、割れが生じない範囲で少しでも良くなるよう、対応させて頂いております。

続いて内部です。

カンボンラインに多く見られる鮮やかな色合いです。ピンク系もスムースレザーになりますが、ショッキングピンクは、蛍光色が必要になります。

アクリル顔料の場合、蛍光色が発色しないので、くすんでしまいますが、液体顔料は、バインダー層に馴染み、発色して鮮やかな色に仕上がります!

【シャネルの財布、修復前(内側)】

写真 2019-06-25 14 39 24

【シャネルの財布、修復後(内側)】

写真 2019-06-26 13 28 40

内側面のレザーは、染め直し、コインケース内などのキャンパス部分はクレンジングしてしみ抜きを行います。

キャンバス生地なので、汚れが刷り込まれてしまうと、薄く残ってしまう場合があります。

生地が傷んでいる場合も無理が出来ないので写真のようにキレイに、しみ抜きが出来ない場合もありますが、出来る限りキレイになるように最善をつくします。

【シャネルの財布、修復前(コインケース内部)】

写真 2019-06-25 14 39 37

【シャネルの財布、修復後(コインケース内部)】

写真 2019-06-26 13 28 58

続いて、トップ層が剥がれ、バインダー層まで、ほぼ色褪せてレザーが乾燥した状態のバッグです。

レザーが乾燥してしまった状態なので、まずは、レザーをなめすときに使用する加脂剤を使い、レザーに潤いを与えます。

十分にレザーに潤いを与えて、染め直しを施すことで、バインダー層とトップ層も滑らかに仕上ります。

【乾燥してしまったシャネルのバッグ 修復前】

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ふち回にの深い傷は、少し痕が残りますが、乾燥しきってパサパサした状態も改善しました!

【乾燥してしまったシャネルのバッグ 修復後】

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こちらのバッグは、色あせして少し青み掛かった色に変色していました。

【色あせて青みがかっているシャネルのバッグ 修復前】

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【色あせて青みがかっているシャネルのバッグ 修復後】

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酷い色あせも、レザーの特性を理解し、修復をすることで、バッグは蘇ります。

 

艶感に関しては、シャネルは、艶感を強めにした方が、ブラックの高級感を引き立てることができ、おススメですが、配合を調整するだけなので、お好みに応じて対応可能です!

まとめ

シャネルだけでなく、多くのハイブランドでは、色使いや革の製造工程までこだわり、製品づくりをしています。

こだわりがあるからこそ、修復をする立場の人間も革製品の製造工程を知り、染料や顔料にもこだわりをもって、
修復に取り組む必要があると私たちは考えます。

良い品を出来る限りお客様に長く大切に使い続けていただくためにも、こだわりをもった修復をこれからも心掛けていきたいと思います。

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