モノグラムやダミエと言えば、一目でルイヴィトンと分かる有名なシリーズですね!
ルイヴィトンの代名詞といってもよいのではないでしょうか?
でもそんなモノグラムやダミエでも意外と知られていないのが、素材です。
この記事では、ルイヴィトンのモノグラムやダミエなど状態に応じた、修理の可否などについてご紹介したいと思います。
この記事の目次
皆さんはルイヴィトンの素材って何か知っていますか?
革の色が褪せてしまいました~ってお問い合わせを頂いて、画像を見てみるとモノグラムの画像が添付されていました。
ルイヴィトンの修理を行っているとこのようなケースがとても多いんです。
実はルイヴィトンのモノグラムやダミエの表部分、本革に見えて本革ではないのです。
モノグラムやダミエの柄の表面が剥がれた部分の下地を見てください。
よく見ると下地が布地になっています。
本革の場合、表面が剥がれても下地は革です。
下地が革でない場合、革に見立てた合成皮革素材になります。
では、革じゃないならなんでしょうか?
モノグラやダミエに使われている素材は丈夫な綿素材にコーティング加工された素材で、正式名称を「トアル地」と言います。
シボと言って、シワ状の型押しがあるので、一見、レザーのように思えてしまいます。
また、最近の合成皮革素材の製造技術は、カーインテリアやファッションアイテムを見ても格段に良くなっており、
見た目だけでは本革なのか合成皮革なのか判断が出来ないくらい進化しています。
合成皮革素材を使う理由はコストを抑えるためや動物保護の目的もあるようですが、長年使っていくと、様々な劣化が生じてきます。
合成皮革素材は、簡単に言ってみれば、プラスチックを薄くしたような素材です。
皆さんも経験があると思いますが、同じ場所を何度も繰り返し閉じたり開いたりすると
亀裂や割れが生じてきますね!
トアル地も経年劣化で負荷が何度も掛かる部分は、剥がれたりクラーク(ひび割れ)が生じてきます。
実際にご相談いただいたケースをご紹介します。
このような状態を未然に防ぐ方法は、お使いいただく際に、無理に広く広げない事です。
一度亀裂が入ると早いもので、どんどん悪化していきます。
合成皮革素材もレザーと同じで乾燥を防ぐことが大事になってきます。
モノグラムやダミエの場合、表面が合成皮革素材でも内側に本革を使用していることがあり、
乾燥が進むと合皮が収縮し、内部のレザーとサイズが合わなくなり、反りが出てきます。
モノグラムやダミエの反りの予防には、レザーや合成皮革素材の保湿を目的として開発されたクレンジング剤がおススメです。
クレンジング剤で小まめに拭くことで保湿ができ、反りを抑えることができます。
私たち革修復どっとコムでは、専用に開発したクレンジングmamaというクレンジング剤を使用することで、革製品や合成皮革素材の保湿を行っています。
使い方も簡単です!
画像はトアル地が黄ばんだ状態です。
ルイヴィトンのマルチカラーやダミエアズールによく見られる症状です。
白は特に黄ばみやシミが目立つのでなんとかしたいですよね?
実は、黄ばみやシミ自体は取り除くことが出来ます。
しかし、強い染み抜き剤を使用するため、LVなどの柄も一緒に消えてしまうので、残念ですがしみ抜きが出来ません。
部分的な色あせやシミであれば、着色補正で修復が出来る場合もあります。
しかし、画像のように、全体的な黄ばみや色あせは柄に影響を与えてしまうので、残念ながらお直しが出来ません。
部分的なシミや色あせの場合は、一度、画像添付の上、お問い合わせ頂けたらと思います。
こちらの画像のマルチカラーは、部分的に着色してお直しすることができます。
画像のダミエエベヌは、一見すると変色しているように見えますが、
実は一部の色が抜けて青っぽくなった状態です。
このようなケースは、概ね見栄えよくメンテナンスが可能です!
トアル地の劣化は、残念ながら元の様に修復することは出来ません。
正規店でも同じで、修理ができないか新品のルイヴィトンが買えるくらいの費用がかかってしまいます。
そのため、一度正規店に修理の依頼を出してあきらめたという人も多いのではないでしょうか?
しかし、正規店で一度断られても劣化した場所や範囲でご提案が出来る場合もあります。
たとえば、範囲が狭く負荷が掛かりにくい場所の場合、下地である布地を染めたり、
コーティング剤に染料を配合して形成して剥がれた痕を目立たなくする方法があります。
型押しの再現が出来ないため、あえてランダムにして加工します。
修理痕は残りますが、ひび割れや剥がれが目立たなくなれば問題なし、という場合には対応が可能です。
事例①
事例②
ひび割れは残りますが、捲れた部分を目立たなく処理しています。
ルイヴィトンお財布の場合、画像の様な状態になると、大抵、ステッチのホツレやバニッシュ(コバ)の剥がれも考えられるため、セットでお直しが必要になります。
バニッシュ加工とは表の生地と内側レザーの縫い合わせた境目を隠すコーティング部分になります。
before/afterと併せてご紹介します。
画像のようにひび割れがお財布中央に伸びた場合、加工しても直ぐに割れが生じ、加工後に割れが生じると不自然になるため、ひび割れた部分の上からレザーを充てることで割れを隠す方法をご提案させて頂いております。
デザインが変わるので、余りお勧めしていないのですが、大事な思い入れの深い財布やバッグを修理したいという方も多く、ご依頼頂く方も多くいらっしゃいます。
亀裂の範囲が長い状態
負荷が掛かりやすい場所で劣化範囲が広く樹脂コーティングが無くなった状態
実際に革充てをさせて頂いた事例です。
内側の構造や全体的な型崩れなどの状態により充て方や仕上がり感が変わってきますが、形状や範囲、色合いは出来るだけご希望に添えるように対応させて頂いております。
こちらは本革のエピラインですが、お財布の折り目がボロボロになった場合、同じような方法で対応が可能です。
■バニッシュ加工 5500円~
■トアル地捲れ剥がれ修理 バニッシュ加工にプラス2000円~
■革充て補強 2箇所 10000円(税別)~
形状のご希望がある場合、簡単な手書きで構わないのでメモに書いて同封をお願いしております。
■ステッチ補強 折山両サイドの場合 4000円~
いかがだったでしょうか?
モノグラムやダミエは本革ではないと聞くとびっくりされる方も多いと思います。
しかし、トアル地にはトアル地にしかない丈夫さや耐久性があり、何年使っても壊れないルイヴィトンの丈夫さの秘密でもあります。
しかし、いくら丈夫とはいえ、保管方法が悪かったり、負荷をかけすぎると悪化します。
トアル地の破損は、ルイヴィトンの正規店では修理が難しいこともあります。
しかし、愛着のあるルイヴィトンが少しのひび割れや剥がれで使えなくなってしまうのは悲しいですよね。
そんなときは、是非一度、当店へご相談ください。
お客様の大切な財布やバッグをなるべく長くお使いいただけるよう、精いっぱいのご提案をさせていただきます。
革修復どっとコムでは、小規模の高級志向クリーニング店様や靴修理店様から、下請けも賜わっております!
厚労省認可の70有余年続いている老舗のクリーニング店様からも技術面で評価をいただき、弊社に外注としてご依頼いただき、ルイヴィトン修理専門として、ご活躍頂いております!