投稿日:2020.02.04

更新日:2023.11.15

白いジャケットの染め直し&染め直しの際に使用する塗料の違いについて

白いレザージャケットの染め直しの仕上がりの違い

 

ブログを見て頂き有難うございます。

今回は、レザージャケットの
染め直しの事例を
ご紹介させて頂きます。

今回のレザージャケットは
フードのついた白いレザージャケットです。

【染め直し前】

写真 2019-03-19 9 31 03

ところどころ、変色してしまっているので、
この変色した部分を白く染め直し、
元のきれいな白色のジャケットに染め直しました。

【染め直し後】

写真 2019-03-19 15 11 50

一口に白といってもいろいろな白がある

ところで、皆さんは、
一口に白色といっても、
さまざまな白色があることをご存知でしょうか?

パールホワイトやミルキーホワイト、スノウホワイトなど
わずかな色味の違いで様々な白色があります。

革修復どっとコム
修復師リーダーのくみっちゃんが、
小学6年生の娘さんと、
テレビを見ていた時に、
その時見ていた番組から、
色の話になったそうです。

娘さんに同じ白色でも
色々な色を混ぜて微調整することを、
教えたところ、、、

そんなこと小学生でもわかるし!

と、言われたことがあるそうです。

確かに目的の色を出すために、
色を混ぜて微調整するということは、
小学生でも知っていることかもしれません。

しかし、どの色をどの色にどのくらい混ぜると、
どう変化するのか、ということは、
小学生どころか、大人でもなかなか難しいのではないでしょうか?

また、白は他の色の影響を受けやすい色で、
ちょっとでも混ぜる色の量が違うと
あっという間に違う色になってしまいます。

そのため、レザージャケットの染め直しをする時に、
重要なのが、元の色を見て、
どの色同士を混ぜて元の色を作り出すかを見抜く力なのです。

この技術を調色というのですが、
調色の技術は日ごろの試行錯誤と努力で
培うことができます。

革修復どっとコムの修復士は、
たくさんの量稽古によって、
レザーの染め直しに必要な、
見抜く力を身に付けています。

レザーの調色にむいているのは、男性?女性?

ところで、皆さんは、
レザージャケットの染め直しの調色は
男性と女性、どちらが、
上達が早いと思いますか?

これは私の個人的な感覚ですが、
比較的に女性の方が上達が早いと感じています。

理由は、女性が毎日する、
お化粧にあります。

お化粧は、その日の気分や出かける場所、
会う人、肌の状態などで変わってきます。

また、女性は自分の肌の色に合う化粧品を探すために、
僅かな色の違いを見抜き、お化粧品を選んでいます。

そのため、日常生活で男性よりも
色の違いを選択する機会に多く触れているので、
色彩感覚が鍛えられています。

レザー製品の染め直しも、
化粧と同じで、革の状態や下地の色、元の色などを
見抜きながら元の色に合わせて調色を行います。

そのため、日常生活で
色に触れる機会の多い女性のほうが、
上達が早いというわけです。

そのためかはわかりませんが、
革修復どっとコムでも、
多くの女性修復士の方々が活躍しています。

革修復どっとこむのスタッフはこちらこちらからチェック

もちろん、男性だからといって、
調色が出来ないというわけではありません。

正しい努力を積み重ねることで、
男性でも、微妙な色加減を見抜き、
調色を行うことができます。

もし、レザー製品の染め直しや
修復に興味のある方は、
一度、革修復どっとコム
レザーリペア講習を受講してみてください。

レザーリペア講習の情報はこちらからチェック

レザー製品の染め直しの時に使う液体顔料とアクリル塗料の違い

最近はテレビでも
レザー製品の修復が取り上げられ、
修復士の方がメディアに露出する機会が増えたので、
レザー製品の修復師の知名度が上がってきました。

しかし、レザー製品の染め直しに使われる
染料のことについては、知らない方が
まだまだ多いのではないでしょうか?

レザー製品の染め直しには、
大きく分類すると、液体顔料アクリル塗料
2つの染料が用いられます。

一般的なレザー製品のリペアショップでは、
アクリル塗料を用いて染め直しを行っています。

一方、革修復どっとコムでは、
主に液体顔料を使用しています。

なぜ、顔料を使用するのかというと、
下の画像を見ていただきたいです。

【液体顔料】

IMG_5995

【アクリル顔料】

IMG_5994

どうでしょうか?

違いがわかりますか?

少しわかりにくいかもしれませんが、
液体顔料の方がキッチンペーパーに浸透しています。

そのため、キッチンペーパーのでこぼこが、
色がついている部分でも薄っすらと確認できます。

一方、アクリル塗料の方は、
キッチンペーパーに浸透せず、
キッチンペーパーのでこぼこが、
アクリル塗料で埋まってしまっています。

この違いは、レザー製品の修復の
仕上がりの違いに表れてきます。

レザーリペアのアクリル塗料の場合

アクリル塗料は、
レザー製品に塗った時にレザーに色が浸透せず、
色をレザーに乗せただけになります。

そのため、最初から色合いを
100%元の色に合わせておかないいけません。

万が一、少しでも色味に違いが出てしまうと、
一度塗った色の上から新たに色を乗せる必要があり、
厚塗りになってしまい、テカテカとした不自然な仕上がりになってしまいます。

また、色が同じでも
色の重なりや筆の跡で表面に
わずかなでこぼこが出来てしまったりします。

そのため、場合によっては、
サンドペーパーを使い、
軽く傷をつけ、塗った感を消していきます。

この時のやすりかけで出来た傷が原因で、
数年後に、せっかく染め直しをしたバッグが
ひび割れてしまうことがあります。

また、アクリル塗料
レザー製品に直接色を乗せるため、
高温多湿な場所では、
アクリル塗料を塗った面同士が
くっついてしまったり、
他の物に色が移ってしまうことがあります。

しかし、アクリル塗料は
比較的に安価で、
使い勝手がよく、
誰でも使えるので、
多くのレザーリペアショップで使用されています。

レザーリペアの液体顔料の場合

液体顔料の場合は、
液体のため、レザーへ色が浸透します。
重ね塗りをしても、塗料が
重なりにくく、厚塗りになりません

また、顔料が染み込むため、
修復中のレザー製品に
塗料によるでこぼこや不自然な光沢感が
表れることもありません

そのため、やすりがけの必要もなく、
自然で美しい仕上がりを作ることができます。

 

液体顔料の場合、レザーに馴染みやすいので、

補色として活用することが出来ます。

 

そのため、液体顔料を使う場合はレザー製品の
元の色を引き立てるための薬品を色調した

液体顔料と一緒に配合し、染め直しを行うことで、

元の色に合わせた染め直しが可能です。

 

さらに液体顔料はアクリルが配合されていないので、

レザーに良く馴染み発色します。

 

特にアクリルで発色しないのが、緑・赤・黄・茶

必要とした色合いです。

 

当店の液体顔料は、どの色合いも発色します!

 

 

仕上がりで選ぶなら、液体顔料で決まり!

少し専門的な話になりますが、
レザーは、製品化される前の
加工の段階で、艶調整を施します。

艶調整には色止めの役割もあります。

レザーの修復でもこの艶調整を行うのですが、
この最後の艶調整が仕上りに、
大きな差を生むのです。

アクリル塗料は、
アクリルは絵の具と同じなので、
そのままだと、テカテカになってしまいます

そのため、サンドペーパーで艶を消す必要があります。
一方、液体顔料と引き立たせる薬品を配合して修復を行うと
傷をつける必要が無いので、
仕上りがとても滑らかになります。

レザージャケットは全体を染め直すと不自然になってしまう?

レザージャケットの染め直しのご依頼を頂く際に、

全体的に塗ると不自然になりませんか?

と、いったご質問をよくいただきます。

確かに、アクリル系の塗料だと不自然になります。

もちろん、最初の見た目は素敵に仕上がります。

しかし、アクリルは、面と面が重なった状態で保管すると
貼りついてしまったり、他の物にくっついた状態で保管すると
修復を行った商品から色が移ってしまいます

そのため、アクリル塗料では全塗りは出来ないと思います。

かと言って、液体顔料も同じで、
顔料だけで全体的に塗ると、違和感が出てしまいます。

革修復どっとコム違和感が出ない様、下処理と、元の色を引き立たせる
薬品を上手く活用して、塗装ではなくレザーに馴染ませる
染め直し」がレザーには向いていると思います。

今回のジャケットでも違和感が出ないように、
下処理を丁寧に行い、液体顔料と元の色を引き立たせる薬品を
活用し、染め直しを行いました。

【染め直し前】

写真 2019-03-19 9 30 39

【染め直し後】

写真 2019-03-19 15 11 26

染め直す前と後では、
汚れや変色がキレイになっていることはもちろんですが、
塗料を塗った塗った感のような違和感もほとんど無いかと思います。

これは、使用している塗料の違いもありますが、
実際に作業をしている修復士さんの長年の経験や技術による
色の見極めも大きく関わって、不自然にならない修復が可能なのです。

 

革ジャンの修復

consultation
consultation
Pagetop