2020.02.22

エナメルの染め変えについて

エナメルは、女性に人気の高い素材で、
レディースのバッグや財布に多く使われている素材です。

エナメルは人気の高い素材ですが、
保管中の湿気で変色を起こしてしまったり、
他のバッグやレシートの色が移ってしまうことがあるため、
保管に気を使わなければならない素材でもあります。

特に一度色移りやシミが出来てしまうと
シミや色移りを抜くことが出来ないという欠点があります。

お気に入りのかわいいエナメルのバッグや財布が、
使おうと思って、取り出してみたら、
保管中のシミや色移りで使えなくなってしまうのは
正直ショックですよね。

エナメルのシミや色移りは、抜くことはできませんが、
せっかく、今まで大切にしてきたバッグや財布を捨ててしまうのは、
もったいないと思いますよね。

そんな時は染め変えをすることで、
シミや色移りを目立たなくすることができます。

そもそも、なぜエナメルのシミを抜くことができないのか

そもそもなぜ、エナメルのシミを
抜くことができないのでしょうか?

理由はエナメルの素材にあります。

エナメルは、パテントという素材で、
コーティングされています。

パテント素材は、エナメルの
綺麗な光沢を出すのに欠かせない素材です。

しかし、このパテント素材には、
残念な欠点が2つだけあります。

それは、

シミが浸透してしまうということと、
多湿ななところに置いておくと
変色が発生してしまうということです。

特にエナメルのシミや色移りで多いのが、
お財布にレシートを入れて置いたら、
レシートのインクが移ってしまったり、
保管の際に別のバッグやお財布と重ねて保管したら、
重なっていた部分に他のバッグやお財布の色が
移ってしまうといったケースがあります。

そして、このパテント素材にシミが浸透してしまうと
シミを抜くことができません。

エナメルのシミや色移りには染め変えでイメージチェンジ

下の画像は、元々白色だったルイヴィトンのバッグを黒色に染め変えた写真です。

Louis Vuittonのバッグ染め変え前

【Louis Vuittonのバッグ染め変え前】

 

Louis Vuittonのバッグ染め変え後

【Louis Vuittonのバッグ染め変え後】

残念ですが、一度シミや色移りが出来てしまった、
エナメルを元に戻すことはできません。

元に戻すことはできませんが、
エナメルの色を別の色に変えることで、
シミや色移りを目立たなくしてしまうことは可能です。

元の色合いを気に入っている方にとっては残念ですが、
お気に入りのバッグやお財布を、
シミや色移りが目立ち、使うのに抵抗がある状態で、
使い続けたり、手放してしまったりするよりも、
イメージチェンジしてキレイな状態で使い続けた方が、
いいと思いませんか?

ただ、いくらエナメルにシミや色移りが、
残ったままになるよりも良いからといって、
当店では勝手に染め変えを行うようなことはございません。

上記の画像のルイヴィトンのバッグも、
白から黒へ染め変えるということで、
お客様と入念な打ち合わせをさせていただき、
染め変えを行わせていただきました。。

エナメルの染め変えを依頼する時に気をつける3つのこと

じゃあ、エナメルのバッグや財布を、
シミや色移りがしてしまった状態で
持っているよりも染め変えた方が、
使い続けることが出来るし、いいかなーっと、思って
くださる方もいると思います。

ただ、エナメルの色を変えて使うには、
なんでも好きな色に染め変えられるというわけではありません。

エナメルには染め変える際に気をつけたい3つのことがあります。

エナメルは塗装ではなく、染め変えを選ぶ

エナメルの色を変えるのにまず一番に気をつけたいのが、
色を変える方法です。

ショップによっていろいろな方法があると思いますが、
大きく分けると、塗装と染め変えがあります。

革修復どっとコムでは、
パテント素材に浸透する染料を使った、
染め変えを行っています。

では、塗装と染め変えはどう違うのでしょうか?

塗装は、エナメルのパテント素材の上に、
直接塗料を塗り、上から光沢を出す、
加工を施します。

最初の見た目はとてもきれいに仕上がる上に、
自分の好きな色で染め直すことができるから、
最初は良い出来に見えます。

しかし、使っているうちに、塗装が剥がれてしまい、
ボロボロになってしまいます。

塗装で、一度ボロボロになってしまうと、修復は難しく、
二度と使えない状態になってしまうこともあります。

続いてシャネルのお財布です。

シャネルのマトラッセは、ステッチが

縫い込まれていますが、染め変える場合、

ステッチも同じ様に染まる場合と

ステッチが少し明るめの色合いになる場合がございます。

一方、染め変えは、パテント素材に染料を浸透させ、
色を変えるので、元々のエナメルのパテント素材の
光沢感はそのままに、色を変えることができます。

そして、染め変えはパテント素材の内側に色があるため、
使っているうちに擦れてしまっても、
色が剥げ、下地が見えてしまうようなことはありません。

色が剥げる心配が無いので、
塗装よりも長くバッグや財布を使用していただくことができます。

ただ、エナメル事態に傷がある場合には、
元の光沢感のまま、染め変えを行うことはできませんが、
再度エナメル加工を施すことで、光沢を復元することが可能です。

染め変えは、元の色よりも濃い色で染め変える

染め変えの打ち合わせを行わせていただくと、
ピンクや白、赤など、様々な色のご希望を頂くことがございます。

お客様の大切なバッグやお財布ですので、
出来る限り、お客様のご要望には応えさせていただいているのですが、
淡い色合いの場合、元の色が透けてしまうので、染めムラが出てしまいます。

また、シミが黒っぽい場合、染め変えてもシミが
そのまま残ってしまうので、染め変えても意味が無くなってしまいます。

そのため、染め変えを行う場合には、
元の色合いやついてしまっているシミよりも濃い色で染め変えを行う必要があります。

元の色合いよりも淡い色や
同じ位の濃さだと染めても染料が反映しないので、
染め変えが出来ません。

革修復どっとコムでは濃い色合いの定義として

ブラック(濃い) →→→ ホワイト(淡い)

上記で定義しております。

エナメルに浸透する染料には限りがある

エナメルに浸透する色合いの染料には、限りがあります。
場合によっては、ご希望される色合いの染料が、
エナメルには浸透せず、ご利用いただけないという場合もございます。

染料を取り扱う方はご存知かと思いますが、
世の中に白い染料は存在しません。

顔料であれば、白色はあるのですが、
顔料は、パテントに浸透させることが出来ません。

そのため、白、サクラ系のピンク、ベージュ、グレーなど、
白を必要とした色合いには、染め変えを行うことはできません。

ただ、ナチュラル感よりも、色を重視される方もいるため、
色々、ご理解とご了承をいただけた場合のみ、
塗装にて、対応させて頂いております。

ただし、シャネルのマトラッセのような全体にステッチがあるような、
エナメル製品の場合、塗装すると、ステッチが埋もれてしまい、
不自然になるので、マトラッセなど、ステッチが入っているシリーズは
塗装は出来ませんので、染め変えが必要になります。

エルメスの財布染め変え後

【エルメスの財布染め変え前】

 

エルメスの財布染め変え後

【エルメスの財布染め変え後】

仕上りは、断然、染め変えの方が良く、
後々の傷や擦れのことを考えると、
染め変えがおススメです。

染め変える色合いにつきましては、
お打合せの上、決めさせて頂いておりますが、
染めムラが残らない範囲で、
出来るだけ明るめなど、ご要望がある場合、
受け賜わらせて頂いております。

エナメルの状態によっては明るめに仕上がる場合もある

現状の技術では、染め変えを行う際には元の色よりも
濃い色で、染めないと、元の色が透けて現れ、
染めムラとなってしまいます。

染めムラが出た場合、ブラックに近い色合いに
染まっていくとお考え頂けたらと存じます。

しかし、染めムラが残らず、明るめに仕上げることが
出来るケースもございます。

以下の画像のルイヴィトンのバッグの場合、
ムラが出なかったケースになります。

【Louis Vuittonのバッグ染め変え前】

【Louis Vuittonのバッグ染め変え前】

 

【Louis Vuittonのバッグ染め変え後】

【Louis Vuittonのバッグ染め変え後】

このルイヴィトンのバッグのケースでは、
パテントの状態が良く、浸透したシミが無かったので、
重ね染めをしなくても大丈夫でした。

実は下地のパールが反映しているのですが、
パールが反映されることで赤よりのパールピンクに仕上がりました。

ピンクと言うよりは、ローズですかね!
浸透させた染料の色は、赤になります。

染めムラが出なかった要因として考えられる点は以下の4つです。

  • 元々の色がパールホワイトで、明るい色合いであったこと
  • 黒いシミがなかったこと
  • 極端な変色ムラが無く全体的に薄っすら黄ばみが均一的な状態であったこと
  • パテントに擦れや傷が無かったこと

この条件を満たせないと、
染めムラが出やすくなるとお考え頂けたらと思いますが、
見た目では判断が出来ず、染めてみないと
判断が出来ないため、明るめの色に染める際には、
お客様にご了承を頂いてから染めることになります。

エナメルの染め変え工程こっそり教えます。

エナメルを染め変える工程は、染めムラを隠すために、
染料の濃度を少しずつ濃くしながら、
重ね染めを繰り返していきます。

染めムラが残る場合、最終的に、
黒に近い色合いになってしまいます。

何故、黒っぽくなってしまうのか??

その理由は、染料の原液が、
実はどれも黒っぽい溶液であるということです。

その黒っぽい染料を薄めることで、
はじめて鮮やかな明るい色になります。

そのため、ムラを消すには、染料の濃度を濃くしていかなければ、
ならず、何度も繰り返していくと、
どの色合いも黒に近いダーク系になってしまいます。

IMG_6043

画像はエナメルを染めるための染料が
容器に入った状態の画像です。

左がローズピンクで、右がブルーなのですが、
どうでしょう?どちらがどの色かパッと見てわかりますか?

容器の上部を見ると、
どっちがどの色かわかると思いますが、
染料が溜まっている下部ではほとんど見分けがつかないですよね?

次の画像はローズピンクの染料を数滴、容器に入れた画像です。

容器の白が反映して、ふち周りが少し赤っぽい感じになります。

中心は、色が濃く容器の白が範囲していないので、
ダークブラウンのように見えます。

IMG_6044

ここに溶液を入れて薄めると、、、

IMG_6045

こんなに色が鮮やかに発色します。

これが染料の特性です。

淡い色合いをご希望頂いた場合、
染めムラが残らない所で、重ね染めをやめる流れになります。

そのため最初は、できるだけ明るい色で染めるために
溶液で薄めた色合いで、染め上げますが、
一度や二度では、下地が透けて均一に染まりません。

薄めた染料で染めムラが出た場合、濃度を少しずつ、
濃くして、何度も繰り返しながら、染めていきます。

すると、次第に暗い色合いになっていきます。

色によってはいくら暗い色に染めても限界があります。

薄めた染料で何度、染めても染めムラが残る場合、
染料の濃度をマックスで濃くして染めることになりますが・・・

染料の濃度を濃くすると、先ほどの画像のように、
どの色合いも黒に近いダーク系になってしまいます。

エナメルを一度染め変えると元の色にはもどらない

染め変え前に、ご理解いただきたい点は、
パテントに染料を浸透させた場合、
抜き取ることが出来ません。

これは塗装でも同じことですが、
もう後には引けないので、途中でやめることができません・・・

そのため、シミの状態やパテントの状態によってはご希望の色合いより
濃くなる可能性があることを、ご理解いただけたらと思います!

次の画像は、明るめのネイビーでご依頼頂きましたが、染めムラが
残ったので、最終的に黒に近いダークネイビーになってしまいました。
しかし、染めムラが残るよりは、良い仕上がりになっています!

【Louis Vuittonのバッグ染め変え前】

【Louis Vuittonのバッグ染め変え前】

 

【Louis Vuittonのバッグ染め変え後】

【Louis Vuittonのバッグ染め変え後】

もちろん根革やハンドル、パイピング部分は、
染まらないようにメンテナンスさせて頂いております。

色が染みない様、養生でシッカリカバーします。

養生の仕方は、塗装を営む後輩から、教えて頂きました!

バットやバレーボールや、バイクなど・・・
何でも工夫して塗装してしまうプロです!

お陰で、ヌメ革部分は、染めずにメンテナンスが
出来るようになりました!

感謝ですね!

エナメル染め変え、番外編

番外編的になりますが、浸透したシミや染めムラが少し残っても
明るめをご希望頂くケースもございます。

余りお勧めは出来ないのですが、
ご希望頂いた際は、バランスを見ながら進めさせていただきます。

下の写真はシミが残った状態での染め変えの事例です。

【シミのあるLouis Vuittonの財布染め変え前】

【シミのあるLouis Vuittonの財布染め変え前】

 

【シミのあるLouis Vuittonの財布染め変え前】

【シミのあるLouis Vuittonの財布染め変え前】

こんな感じでシミが残ってしまいますが、
事前にご了承を頂ければ、こういった状態での
染め変えもお受けしています。

エナメルが変色したりシミが浸透したら、
ご希望の色合いを、お知らせ頂けるとスムーズかと存じます!

ご希望の色に、出来るか出来ないか??

お気軽にお問い合わせ頂けたらと存じます!

エナメル変色とシミの修復

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