
シャネル マトラッセ チェーンバッグ 修復日記
きょうは、少し思い入れのある
修復のお話をさせてください。
お預かりしたのは、シャネルの
マトラッセ チェーンバッグ。
見せていただいた瞬間
正直「これは喜んで頂ける」と
声が出そうになりました。
表面はあちこち擦れて細かい傷だらけ
角や縁は色が抜けて白っぽくなっていて
背面にいたっては下地の生地が
見えてしまうほど塗膜がぽろぽろと
剥がれ落ちていました。
おまけに長年しまい込まれていたせいで
本体はすっかりペタンと平べったく
あの丸みのあるフォルムは
どこにもありません。
[写真①:全体 Before/After]


「もう買い替えるしかないですよね…」
お客様は半分諦めたような
寂しそうな顔でそうおっしゃいました。
でも、私たちの答えはいつも同じです。
「まだ間に合いますよ、たぶん」
マトラッセは見た目以上に頑丈な作り
だからこそ、ちゃんと手をかけて
あげれば、ちゃんと応えてくれるバッグなんです。
① まずはクレンジングから
皮脂やホコリ、古い保護膜を一つずつ丁寧に
落としていきます。
地味な作業ですが、実はここが仕上がりの
半分を決めると言ってもいいくらい
大事な工程。
焦って飛ばすと、あとで絶対に後悔します。
[写真②:表面クレンジング Before/After]


② 色を、もう一度重ねていく
下地が見えてしまっていた背面。
一気に塗るのではなく、シャネル本来の
色味に近づけながら、少しずつ少しずつ
色を重ねていきます。
何度も色味を確認しながらの
けっこう根気のいる作業です。
[写真③:リカラー(背面) Before/After]


③ 潰れた形を、ゆっくり起こす
ペタンとしてしまった本体は
革を傷めないよう時間をかけて
少しずつ形を戻していきます。
急に力を入れると革が傷んでしまうので
ここは本当に「ゆっくり」が合言葉です
[写真④:形補正 Before/After]


気づけば、あの潰れていたバッグに
マトラッセらしいふっくらとした
ボリュームが戻ってきていました。
色褪せも下地の露出もなくなって
もう一度、「シャネルの顔」が
戻ってきた瞬間です。
[写真⑤:仕上がり全体 Before/After]


おうちでできる、たった2つのコツ
せっかく綺麗になったので
できるだけ長くその状態を保って
ほしいなと思います。
ポイントは本当に2つだけ。
バッグの中に丸めた布や市販の
クッションを詰めて保管する
(自重による型崩れ防止)
エアコンの効いた部屋で保管する
(湿気と温度差が革には一番こたえます)
ただ一つだけ注意点があって
詰め物を入れっぱなしにすると
カビの原因になります。
月に一度くらいは、詰め物を入れ替えたり
陰干ししたりしてあげてください。
[写真⑥:完成イメージ Before/After]


最後に
「ここまで傷んでたら
さすがに無理だよね」
「お店に持っていって
呆れられたらどうしよう」
そう思っている方にこそ
一度見ていただきたいです。
今回みたいに下地が見えるくらい
進んだ状態からでも
戻ってくる子はたくさんいます。
こんな状態を見せるのも恥ずかしい……
という方は、メールだけでも大丈夫です。
お名前も書かなくて大丈夫です。
LINEでのやりとりもできます。
無理にすすめることはしませんから
見積もりだけでも全然OKです。
大切にしてきたバッグに
もう一度活躍してもらってほしい。
そのお手伝いができたらいいなと思っています。







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