エルメスを代表するバッグ、ケリーとバーキン。
実は同じバッグに起源を持ちます。
今回はバーキン誕生の背景を紹介します。
エルメスは1837年、創業者ティエリー・エルメスがパリで馬具専門店を開いたことから始まりました。
1867年には万国博覧会で銀メダルを受賞し、名声が広がります。
二代目シャルル・エミールは現在の本店に移転し、オータクロアという鞍を運ぶバッグを開発。
これがケリーやバーキンの原型です。
三代目エミール・モーリスは、王族や貴族にオーダーメイド製品を提供し、エルメスの名声をさらに広めました。
こうしてエルメスは確実に成長を遂げていきました。
1981年、エルメスの社長ジャン=ルイ・デュマは、ロンドン行きの飛行機でジェーン・バーキンと隣席に。
彼女は子育てのために洒落た実用的なバッグが欲しいと嘆きます。デュマは新しいバッグを作ることを約束し、オータクロアを基にバーキンを開発。
バーキンは大きな開口部や安定感のある底部、調節機能を重視して設計されました。
エレガントでありながら実用的なバーキンは、ジェーン・バーキンが40センチサイズを愛用。
日本では35センチや30センチも人気です。誕生から数十年経ても色褪せない魅力を持っています。
今回は、エルメス最高峰バーキンの染め直し修理をご紹介します。
【before】
【after】
ハンドルや背面に擦れや黒いシミが見られましたが、スムースレザーは革を保護する役目があります。
革修復どっとコムでは、レザーの製造段階と同じ手法で銀面生成(染め直しや補色)を施すことで、見栄えよくナチュラルに仕上げることが可能です。
【before】
【after】
エルメスの歴史を紐解くと、馬具製作に打ち込んだ歴史が技術力の背景となっています。
馬に負担をかけずに人間が使いやすいようにデザインされた馬具は、見た目だけでなく機能する道具でなければなりません。
その技術とノウハウが、モータリゼーションの時代にも役立ち、エルメスのバッグは世界中で人気となりました。
エルメスは、伝統的な技術を使い、世界中から集めた最良の素材の一番良い部分だけを使用しています。
特に、レザーの部位にこだわり、最も品質が安定して丈夫な背中側の部位を使用しています。
これにより、長年の酷使にも耐え、修理対応も可能です。
エルメスは各国に専門窓口を設け、アフターサービスを重視。
ステッチ穴を活用し、なるべく元の状態に戻す修理を行い、修理後にも長く使えるようにしています。
エルメスのバッグは高額ですが、優れた職人が最良の素材を使いハンドメイドで製造しているため、その価格には納得の理由があります。
バーキンのハンドル修理と補色について
今回、革修復どっとコムにご依頼いただいたバーキンは、特にハンドル部分が黒くなっていました。
まず、クレンジングで表面の汚れを落とし、浸透したシミを抜き取りますが、シミを抜く際にバインダー層の顔料とトップコートも一緒に抜けてしまいます。
そのため、染め直しや補色が必要となります。
【before】
【after】
バーキンは、柔らかい革を使用しているため肌触りが良く、サイド部分のベルトで厚みを調整可能です。
台形の形状で底部が広がり、安定感抜群です。ケリーと姉妹モデルですが、バーキンは二本のハンドルを持ち、アクティブな印象を与えます。
ハンドルは六種類の素材で作られており、滑らず持ちやすい構造です。
クロアとターンバックルでフラップを挟み、さらにカデナで南京錠を付けられるため、開口部をしっかり閉じられます。
フロントにはオープンポケット、背面にはファスナーポケットがあり、小物の整理がしやすいデザインです。
バーキンに色褪せやシミができて使いにくくなった場合、まずは正規店でご相談いただくことをおすすめします。
正規店での対応で改善が見られなかった場合や、さらにキレイにしたい場合は、ぜひ遠慮なくご相談ください。
補色や染め直しによる価値の変動について
補色や染め直しをすると価値が下がるのか?多くの方が心配されています。
ここでは、メンテナンス後の価値について説明します。
正規店でのメンテナンス
正規店では、正規店以外で手を加えると、その後のメンテナンスを受けられなくなる可能性があります。
まずは正規店でご相談いただき、どのようなメンテナンスをすると受け付けてもらえないかを確認することをおすすめします。
リユース市場での価値
一般ユーザーが売買できるオークションやメルカリ、古物商が必要な業者間オークションでは、バーキンに手を加えると価値が下がると言われることがあります。
しかし、これは悪質な買取店が安く仕入れるための手法です。実際には、ナチュラルに見栄えよく仕上げれば価値が上がることが多くあります。
革修復どっとコムでも、古物商が必要なオークションで色褪せたバーキンなどブランド品を仕入れて修復し、新人職人の育成に役立てていますが、価値が下がることはほとんどありません。
新品や新古品など状態の良い商品は別ですが、シミや変色、色褪せた商品では、ナチュラルに見栄えよくメンテナンスされた商品の方が使いやすく、価値が上がることが多いです。
確かにペンキを塗ったような仕上がりだと価値が下がりますが、革修復どっとコムでは、ペンキを塗ったような商品を仕入れ、塗料を取り除き元の色に合わせて銀面生成(染め直しや補色)を施すことで価値がある事例もあります。
詳しい情報やメンテナンスについてのご相談は、遠慮なくご連絡ください。
素材やカラー、状態に応じて最適なメンテナンス方法をご提案いたします。
エルメスバーキン ハンドル制作交換の事例
革修復どっとコムの取り組み
私たちは職人の育成を重要なミッションとして、高品質な修理サービスを提供し続けるため、次の世代の職人を育てる取り組みに力を入れています。
①実践的な練習
傷んだブランド品を安く仕入れ、練習用に使用しています。
これにより、職人たちはリアルな修理経験を積むことができます。
②専門的な指導
経験豊富な職人が新しい職人に対して指導を行い、技術を継承しています。
高度な技術を伝えることで、全体のクオリティを保っています。
③多様な修理実績
ルイヴィトン、エルメス、シャネルなどのハイブランド品を取り扱い、さまざまな修理経験を積むことで、対応力を高めています。
④もったいない精神
日本の「もったいない」精神を大切にし、使い捨てではなく、修理して長く使う文化を広めています。
上記の取り組みとして、以下の方法で職人を育成しています!
リペア教室(多くの人に感動と喜びを)
委託販売(ブランド名・シリーズ名・真贋教育)
買取します(職人育成にご協力ください・技術を次世代へつなぐ)
バッグ修理・靴修理の革修復どっとコム
沢山のエルメスを修復しました。
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