数あるブランドバッグの中でも、群を抜いて高級かつ人気があるものと言えば、やはりエルメスのバーキンでしょう。
その高価さと入手困難さから、多くの人々にとって憧れの的となっています。
エルメスの歴史は古く、ナポレオン三世の御用商も務めたといわれる老舗で、当初は馬具工房として知られていました。
エルメスの始まり
1837年、馬具職人であったティエリ・エルメスが、パリ・ランパール通りに工房を開いたことがエルメスの歴史の幕開けでした。
彼の後を継いだ二代目エミール・シャルルの時代には、パリ万博の馬具部門でグランプリを受賞し、その後、本拠地を現在のサントノーレに移転しました。
変革の時代
二十世紀初頭、馬車から自動車への移行が進む中、三代目エミール・モーリスは、女性のライフスタイルの変化に着目しました。
第一次世界大戦後、社会進出に目覚めた女性たちは、より活動的なファッションをするようになり、エミールは鞍作りの腕を生かしてバッグやベルトを製作し始めました。
多様化と成長
エミールは、時計やアクセサリーの分野にも積極的に進出し、1937年には「オムニバスゲームと白い貴婦人」と名付けた第一号スカーフを発表しました。
のちに「ケリーバッグ」として知られる「サック・ア・クロア」が作られ、香水事業もスタートしました。
1978年にはジャン・ルイ・デュマがエルメスを率い、食器やテーブルウェアの分野にも進出し、クリスタルのサン・ルイ社、銀製品のピュイフォルカ、靴のジョン・ロブなどを吸収合併し、エルメスワールドを広げていきました。
メンテナンスのご紹介
今回は、エルメスバーキンのメンテナンスについてご紹介いたします。
エルメスのバッグは高価で大切なアイテムですので、適切なメンテナンスが求められます。
職人の育成方法について
革修復どっとコムでは職人と言わず修復士と呼んでいます。
古物市場で色褪せやシミのあるバーキンなどのブランド品を仕入れて社内品を使って練習を行い、技術を高めていきます。
練習の成果は、専門の真贋士による検品を経て確認されます。
また、革修復どっとコムでは、製品化される前の鞣し工程と同じ配合剤や溶剤を使用しており、これらを使いこなすための技術も職人に習得させています。
プロ仕様の塗料や色止め艶調整剤を使うことで、オリジナルの美しさを保ちながら修理を行います。
さらに、革修復どっとコムでは女性の修復士をメインに起用しています。
女性ならではの感性が、レザーの染め直しや仕上がりに重要な役割を果たしており、ナチュラルな美しさを実現するための貴重な技術となっています。
後ほど、育成方法についての取り組みもご紹介いたします。
【before】
【after】
今回、革修復どっとコムにご依頼いただいたエルメスバーキンは、全体的には概ね状態が良いものの、擦れによって銀面が剥がれ、下地のレザーが見える状態でした。
このような状態は、いわゆる「角擦れ」によるものです。
メンテナンスのプロセス
以下の手順でメンテナンスを行い、バーキンの美しさを取り戻します。
- クレンジング: まず、色止めや艶調整の役割があるトップ層をクレンジングで除去します。これにより、バインダーに馴染ませる次の作業が効果的に行えるようになります。
- 色の補填: 銀面が剥がれた部分は、しっかりと色を入れて補修します。これにより、剥がれた箇所が目立たなくなります。
- 全体の補色: 全体的に状態の良い部分は、バインダー層に馴染むように補色を施します。特にナチュラル感を重視しながら、全体の見栄えを向上させます。
【before】
【after】
ハンドル部分の革と革の併せを隠すふち周りのコーティングをバニッシュ(コバ)と言います。
再加工を行うことで引き締まった感が出ます。
色のくすんだ状態は、手垢などの油分を含んでいるため、しみ抜きを施しますが、しみ抜きを行うと同時にバインダー層の色も少なからず抜けてしまうことがあります。
そのため、補色をして色味を調整する必要があります。
【before】
【after】
バーキンの誕生は1981年にさかのぼり、イギリスの女優、ジェーン・バーキンとエルメス社長、ジャン・ルイ・デュマ氏の出会いがきっかけだった話は有名です。
当時のジェーン・バーキンは、Tシャツにデニム、そしてかごバッグというスタイルが定番でしたが、そのかごバッグには仕切りやポケットがなく、使い勝手には少々難がありました。
ある日、彼女がパリからロンドンへ向かう機内でのことです。
短時間のフライトでしたが、隣り合わせた男性と意気投合しました。
いつものようにかごバッグを持っていた彼女は、その中にあったエルメスの手帳から、多くのメモをばらまいてしまいました。
散らばった紙を拾うのを手伝ってもらいながら、「どの手帳にもメモが挟みきれないの。バッグもポケットが足りないし」と嘆きました。
すると男性は彼女に提案します。
「手帳を大幅に変えるのは難しいけれど、代わりに私のアトリエであなたの理想のバッグを作ってみましょう」と。
その男性こそ、ときのエルメス社長、ジャン・ルイ・デュマ氏だったのです。
デュマ氏は彼女の理想のバッグをさらさらとスケッチし、それを大切に持ち帰りました。
そして「オータクロア」をベースに、たっぷりとした容量で、底が平らで安定感があり、丈夫でエレガントなのにカジュアルにも持てる夢のようなバッグを製作しました。
制作過程に携わった女性たちからもそのバッグの人気は高く、デュマ氏はジェーン・バーキンに「君の名前を付けさせて」と依頼し、彼女はこれを快諾しました。
こうして、今や世界で最も入手困難なバッグとも呼ばれる「バーキン」が誕生したのです。
バーキンの誕生は、エルメスの革新と伝統の象徴ともいえる逸話です。
革修復どっとコムの職人育成について
革修復どっとコムでは、高価で大切な思い入れのあるお客様のお品物を新人にいきなり修復させることは致しておりません。
古物市場でバーキンやシャネルなどのハイブランド品を中心に仕入れて職人に練習品として提供しています。
修復した練習品を古物市場へ再出品しますが、古物市場は、真贋を含め出品前の検品があります。
基準は、とても厳しくメンテナンス後、再出品したとき、仕上りが悪いと出品が出来なくなります。
この基準をクリアできるまで、徹底して社内品で練習を重ねております。
エルメスバーキンの色褪せやシミについて詳しく知りたい場合やお見積もりなど、遠慮なくお問い合わせいただけたらと思います。
銀面生成はレザーをナチュラルに仕上げる手法です。
詳しくはこちら
革修復どっとコムの取り組み
私たちは職人の育成を重要なミッションとして、高品質な修理サービスを提供し続けるため、次の世代の職人を育てる取り組みに力を入れています。
①実践的な練習
傷んだブランド品を安く仕入れ、練習用に使用しています。
これにより、職人たちはリアルな修理経験を積むことができます。
②専門的な指導
経験豊富な職人が新しい職人に対して指導を行い、技術を継承しています。
高度な技術を伝えることで、全体のクオリティを保っています。
③多様な修理実績
ルイヴィトン、エルメス、シャネルなどのハイブランド品を取り扱い、さまざまな修理経験を積むことで、対応力を高めています。
④もったいない精神
日本の「もったいない」精神を大切にし、使い捨てではなく、修理して長く使う文化を広めています。
上記の取り組みとして、以下の方法で職人を育成しています!
染め直し修理のリペア教室(多くの人に感動と喜びを)
委託販売(ブランド名・シリーズ名・真贋教育)
買取します(修理職人育成にご協力ください・技術を次世代へつなぐ)
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革製品の製造段階と同じ方法で染め直しができる溶剤・塗料のオンラインストア
バッグ修理・靴修理の革修復どっとコム
沢山のエルメスを修復しました。
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