今回は染料について、ご案内させて頂きます。
革の表面層のことを銀面と言いますが、革の上に着色された上に、
艶感を調整するトップ層がございます。
色褪せや、浸透して落としきれないシミを、染料で目立たなくして、トップ層を作る工程を施しております。
オリジナルの液体染料を調整し、ブランドや素材に応じ質感を活かせるよう、使い分けております。
判りやすく申し上げますと、革を製造する段階と同じ工程となり、
革の上に着色して、艶感を調整するトップ層を作る工程となります。
同じブランドでも、革の表情が年数や状態で、変わってくるため、一つ一つ微調整させていただいております。
判りやすく言いますと、隠し味(色)を探す感じです!
染料の調合がおおむね完了したら、実際に染料を革の上に、ほんの少し乗せて、
馴染み方や隠し味(色)を何度も確認して、調整を施します。
経験と知識がないと、なかなか簡単には使いこなせません。
ご自身で修復をお考えの皆様へ
もし、ご自身で簡単な修復をお考えの方には、コロンブスのアドカラーをお勧めさせて頂きます。
アクリル系なので、色あわせも比較的簡単です。
当店の体験教室でも使用いただいております。
水で濃度を薄くすることで、若干の色違いも目立たなくなるかと思います。
ちょっとした角擦れや軽めの色褪せ程度の修理ですと、お化粧感覚で、ナチュラルメイクと
称して、プロの方も多く愛用していますが、淡い色合いに濃く浸透したシミ、
深い傷など状態が悪い場合に、染みや傷を隠すため、濃度を濃くすると、
ビニールのようになったり、ひび割れが出たり、お財布ですと、内側面やポケット内など、
張り付いてしまう現象がでるなど、難点が多いため、プロ使用としては、本来、不向きです。
アドカラーをうまく使いこなすポイントは、
①濃度を濃くしない。
②内側や重なり合う部分に使用しない(張り付く場合があります)
③色の調整は、微量で少しずつ
近い色合いが無い場合、アクリル絵の具であれば、アドカラーに混ぜても問題ありません。
画材やさんに沢山の色が売っています。
水の量で、艶も調整できます!
市販のアルコールを配合すると染料感覚で使用が可能になります。
※少し経験が必要になるかと思います。
最初に少し、濃い目で塗って、最後に艶を消すために水を多くして、軽く塗ると良いかと思います。
※筆の先にたっぷり着けず、先端に少しつける程度が良いかと思います。
艶を調整する溶剤なども、レザークラフト社や協進エルのホームページで販売しています。
ドライヤーで乾かしながらですと、ムラになりにくいかと思います。
アドカラーで修復してはいけない素材としまして、
アニリンやセミアニリンカーフになります。
見分け方として、透明感のある色合いになります。
エルメスやシャネルなど、深みの有る色合いは、アクリル系ではなく、染料系になります。
アクリル系での修復は、濃度を薄くしても質感が変わってしまいますので、ご注意ください。
軽めの色褪せや傷には、ナチュラルメイク感覚でアドカラーを使ってみてください。
※色を塗る前にご注意いただきたいこと
アドカラーで塗装をする際、何でもそうですが、最初に塗装面の汚れを
落とさなければなりません。
お勧めのクレンジング剤ですが、コロンブスのレザリアンです。
お値段も比較的安く、使い方も簡単です。
コットンに湿らせ、表面の汚れを落とす程度に軽くやさしく拭いてください。
汚れを落としてからのほうが、密着度が良くなります。
トリートメントなどの保湿につきましては、先にしますと、密着が悪くなります。
レザーの保湿成分は、基本、油分になる為、トリートメントなどの保湿は先にされないように、
ご注意ください。
修復後に、クリームなどで保湿をされた方が良いかと思います。
興味があり、ご自身で修復をお考えの方、ご質問など、遠慮なくお問い合わせください。